2012 Fiscal Year Research-status Report
ミリ波・サブミリ波帯におけるフォトニック結晶構造を応用した電磁波回路の解析と応用
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24560423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
穴田 哲夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (20260987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 春平 神奈川大学, 工学部, 助教 (20440266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フォトニック結晶 / サブミリ波 / 狭帯域バンドパスフィルタ / 縮退共振モード |
Research Abstract |
研究課題:ミリ波・サブミリ波帯におけるフォトニック結晶構造を応用した電磁波回路の解析と応用 本研究のターゲットは、ミリ波(70GHz以上)からテラヘルツ波帯(10THz)の超広帯域領域でのフォトニック結晶構造を用いた電磁波回路の数値解析を通して周波数の利用効率を上げ、超高速短距離無線通信の新規開拓として新しいフォトニック結晶電磁波回路の基礎研究と実際的応用を推進した.従来のメタル配線による導体損を避けるために誘電体フォトニック結晶の周期構造による空気/誘電体基板中に2次元周期の円柱/空気穴による高機能回路の提案と具体的な設計指針を明らかにした.通信システムにおいて、狭帯域バンドパスフィルタの開発は最重要課題である。筆者らは、空気中にシリコン円柱のフォトニック結晶を配置し、点欠陥共振器の中央に周期構造の円柱よりも大きな誘電体円柱を挿入し、2重縮退ダイポールモードの高Q回路を実現している。さらに縮退モードを分離するために対角線上の適切な位置に微小円柱の摂動を与え、コンパクトな直角曲がり狭帯域バンドパスフィルタを初めて実現し、その周波数特性と設計指針を明らかにした。また周波数特性のシミュレーションのみならず等価回路を導出し、なぜバンドパスフィルタとして動作するかを説明している。その結果は、2012年10月のEuMW国際会議(Amsterdam),2012年12月のAPMC国際会議(台湾)にて発表し、着実に成果を上げている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績を踏まえて,ミリ波・サブミリ波帯の実際的な狭帯域バンドパスフィルタを実現できる見通しを得たので、さらに設計手法の確立可変フィルタの可能性が見えてきた。従って、先ず開発した狭帯域バンドパスフィルタを準ミリ波帯での実験による確認を考えており、フォトニック結晶微細回路の作製材料、微細パターン作製費用に当てる。なお、フォトニック結晶においては寸法の次元の基本定数が存在せず、マクスウエル方程式のスケーリング則が成り立つので、サブミリ波の前段階として現在、準ミリ波帯において実験準備を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
具体的には、フォトニックバンドギャップ(PBG)による2重縮退モードを用いたバンドパスフィルタの作製を計画している。 次に、新たに開発したフォトニック結晶による3ポートT分岐回路において、電力分配器やスイッチなどの電磁波回路を開発したので、今後数値解析と同時に実際にスイッチング回路を作製し、解析と実験の両面から検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
科研費の直接経費にて、作製したデバイスとネットワークアナライザとのマッチングを考慮したユニバーサルテストフィクスチャを購入したので、(1)回路を作製するための低損失誘電体基板、(2)微細加工による回路の作製費、(3)実験準備のアルバイト費、(4)得られた研究成果の学会発表の旅費、(5)国際会議の参加費等に充てる予定です。これまでユニバーサルテストフィクスチャとネットワークアナライザーを精密に接続するための高性能同軸ケーブルなどを購入したが、購入価格が値下がりしたこと、実験補助者のアルバイト費がかからなかったことなどの理由で繰越金が生じる結果となった。今期は、繰越金を含めて海外発表、国内発表の費用への補填、さらに回路作成費の上昇分を考慮して研究を進めると共に成果を確実に上げる所存である。
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