2013 Fiscal Year Research-status Report
透明から鏡へのクロミズムと透明有機ELによるハイブリッドスマートウィンドウの構築
Project/Area Number |
24560424
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
内田 孝幸 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80203537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 陽一 東京工芸大学, 工学部, 教授 (20108228)
山田 勝実 東京工芸大学, 工学部, 教授 (70277945)
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Keywords | 透明有機EL素子 / エレクトロクロミズム / スマートウィンドウ / プラズモン / 電子注入 / 複合酸化物 / プラズモン吸収 / 遮熱効果 |
Research Abstract |
現在までに、申請者らが当初目的としていた、「透明から鏡へのクロミズムと透明有機ELによるハイブリッドスマートウィンドウの構築」を実現、検証するため、これを構成する素子である「透明エレクトロクロミック素子」ならびに「透明有機EL素子」を作製し、それぞれの光学的特性ならびに電気的特性の確認が出来た。 今年度は、この「透明」を機軸(無バイアス時の状態が透明)として、「透明エレクトロクロミック素子」では、「鏡」⇔「透明」⇔「黒」の3状態の表示を、また、「透明有機EL素子」では「透明」⇔「発光」の2状態を有するそれぞれの特徴を組み合わせるべく、これらを張り合わせ目的としていた、ハイブリッドスマートウィンドウの試作品を作製、評価することが出来た。これによって、1.透明、2.鏡、3.黒表示、4.両面発光、5.片面発光(背面が鏡)、6.片面発光(背面が黒)の6状態を、電気的なバイアスの組み合わせのみによって、実現できることを示した。 この当初の目標の成果を公にすべく、国内外の学会発表(応用物理学会、写真学会、TOEO8,IDW'13)で発表を行い、また、論文(和文誌(写真学会誌)、英文誌(APEX))に掲載した。また、「透明エレクトロクロミック素子」では、銀のナノ粒子による、プラズモンの挙動が密接に関わっており、これらの学術的なメカニズムについても、検討また研究会でも発表、解説記事を掲載し、多方面の分野の研究者とディスカッションを実施している。すでに、表題にある、「スマートウィンドウ」の主概念である、省エネルギー、遮熱等の応用の観点からも検討中であり、次年度である最終年度の方向性もほぼ整ってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、この新奇な「透明から鏡へのクロミズムと透明有機ELによるハイブリッドスマートウィンドウの構築」は、「透明クロミック素子」と、「透明有機EL素子」から構成され、個々に素子を構築するにも技術的に困難を伴う高い目標ハードルと予想し、取り組んでいたが、現状において、すでにそれらを同時に構築し組み合わせることに再現良く実現することが出来た。 これら申請者が示した知見は決して一人よがりなものでなく、(審査のある)国内外の学会発表でディスカッションを行い、その改善点を明確にして審査のある和文誌ならびに、英文誌に投稿。審査員のコメント、助言を受けながら、すべて掲載、発行に至っている。これは、当初の目標をほぼ達成したものと位置づけられる。 さらに、この研究の過程において応用における利点の知見を示すだけでなく、学術的なメカニズムにおいても、考察、検討の糸口を見出した。このため、これら学術的な点、すなわち、ナノレベルにおける、キャリアの移動やエネルギー準位の検討についても最終年度ではさらに充実させ、本申請を鋭意遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、申請者らが当初目的としていた、「透明から鏡へのクロミズムと透明有機ELによるハイブリッドスマートウィンドウの構築」を実現、検証するため、これを構成する素子である「透明エレクトロクロミック素子」ならびに「透明有機EL素子」を作製し、それぞれの光学的特性ならびに電気的特性の確認が出来た。この個々の特徴ある素子、すなわち、「透明エレクトロクロミック素子」では、銀のナノ粒子の凝集ならびに分散状態がプラズモンの吸収による表示色に深くかかわっていることが分かった。また、「透明有機EL素子」では、透明な陰極にこれまで、使われて来なかった、非占有分子軌道(LUMO)が小さい値を有し、電子を効率的に注入できる可能性のある、複合酸化物についても、その可能性を示した。 このように、本研究は単に新奇な透明デバイスを組みわせただけの応用の提案のステージから、一歩進め、そのメカニズムの解明とそれに基づいた、学術的な改善に着手しつつある。また、応用の観点から、地球温暖化の緩和の対策の一つである、エアコンの負荷の低減のための、「透明エレクトロクロミック素子」の鏡状態における遮熱窓の効果についても、縮尺した模型の部屋において、日射の軽減と室温の変化の測定を行う。これによって、窓ガラスの断熱ならびに、日射の指標である、「熱貫流率」と「日射取得係数」の概算値を求める。この値が電気的に可変できる利点を強調しながら、その応用の可能性を国内外の学会発表や論文に示し、この新奇なデバイスの発展の推進を図る。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] Control of Work Function of ITO Anode Films in OLED2013
Author(s)
Yoichi Hoshi1, Shin-ichi Kobayashi, Takayuki Uchida, Yutaka Sawada and Hidehiko Shimizu
Organizer
TOEO8、The 166th Committee on Photonic & Electronic Oxide, Japan Society for the Promotion of Science (JSPS)
Place of Presentation
International Conference Center, Waseda University
Year and Date
20130513-20130515
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