2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
深田 晴己 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (90509176)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 無機EL / 照明 / 酸化物 / 薄膜 / 発光 / 白色 / 青色 |
Research Abstract |
平成24年度に実施された研究内容および得られた成果は以下の通りである。 (1)直流駆動型の青色発光無機薄膜ELデバイスの開発 直流・低電圧駆動を実現できる青色無機ELデバイス(p-nもしくはp-i-n接合を有するデバイス構造)に適用する透明導電酸化物半導体(n層)、青色発光酸化物蛍光体(i層)、およびp型酸化物半導体について検討した。具体的には、透明導電酸化物半導体としてZnO系ならびにSnO2系薄膜、青色酸化物蛍光体としてBi付活La2O3もしくはY2O3ベース多元系酸化物薄膜、およびp型酸化物半導体としてCu2Oを作製した。n層とp層については材料選定を含め、今後も継続的な検討が必要であるが、酸化物蛍光体についてはLaInO3:Biをはじめとする強い青色発光を呈するいくつかの酸化物材料を見出した。なお、これらの材料開発には、今年度の研究費で導入した“集光照射式赤外線真空炉”によるラピッドサーマルアニール処理技術を用いて実施された。さらに、新規材料の高速探索のための新しいコンビナトリアル手法を開発した。これは、基板の引き上げ速度を厳密に制御したディップコーティング法を用いた簡便なコンビナトリアル成膜技術である。この手法を用いることにより、新規な多元(複合)系酸化物材料の開発効率を飛躍的に高めることが可能となった。 (2)青色光励起対応の黄色酸化物蛍光体材料の開発 ディップコート法により作製されたY3Al5O12:Ce(YAG:Ce)薄膜において、青色光励起による強い黄色発光を呈するための成膜条件および熱処理条件を明らかにした。また、共沈法もしくは錯体重合法などの合成方法を適用することにより、低温プロセスによる高発光効率YAG:Ce蛍光体粉末を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直流駆動を実現できる青色ELデバイスに適用する各層の材料およびプロセス技術については未だ確立されておらず、今後も継続的な検討が必要である。しかしながら、今年度に開発した“コンビナトリアル・ディップコート法”は、多元(複合)系酸化物材料の高速探索に極めて有効な手法であり、本研究課題の目的を達成するための新規材料を短期間で見出すことが可能となった。また、青色光励起対応の黄色酸化物蛍光体材料については当初は平成25年度より研究を推進する予定であったが、平成24年度に前倒しして検討を行った。その結果、YAG:Ce蛍光体(薄膜および粉末)において高発光効率を得るための基礎的な知見を多く得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)直流駆動型の青色発光無機薄膜ELデバイスの開発 青色ELデバイスを構成する透明導電酸化物半導体材料(n層)、青色酸化物蛍光体材料(i層)、およびp型酸化物半導体材料について引き続き検討する。具体的には、新しく提案した“コンビナトリアル・ディップコート法”を駆使し、多元(複合)系酸化物材料を中心に材料選定を行う。さらに、積層薄膜形成技術やラピッドサーマルアニール処理技術を確立し、直流駆動の青色発光無機薄膜ELデバイスを作製する。 (2)青色光励起対応の黄色酸化物蛍光体材料の開発 YAG:Ce薄膜の更なる高発光効率化を実現できるプロセス技術について検討する。特に、低温プロセス技術を確立させる。また、YAG:Ce蛍光体粉末の粒子形状(球状)および粒子径(サブミクロンからナノサイズの粒子径)を制御するための作製条件、および同粉末を有機樹脂に均一に分散するための条件について検討を行う。 (3)白色発光無機薄膜EL照明の試作 上記の青色無機ELデバイスと黄色蛍光体薄膜(もしくは黄色蛍光体を有機樹脂に分散させた蛍光体層)を組み合わせたELデバイスを作製する。さらに、黄色蛍光体層の厚さを調整し、平均演色評価数(Ra)が約60以上の白色発光を呈するELデバイスを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、平成24年度に導入した“集光照射式赤外線真空炉”にガスを導入するためのガス流量制御装置(マスフローコントローラー)、ELデバイスの金属電極を形成するための真空蒸着装置用の直流安定化電源、および消耗品などに使用する予定である。なお、消耗品は、各種酸化物半導体薄膜を形成するときに使用する原材料、各種基板、薬品類(酸や有機溶剤など)、およびガス類(成膜時や熱処理時に使用)などである。
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