2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560426
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
深田 晴己 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (90509176)
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Keywords | 無機EL / 照明 / 酸化物 / 薄膜 / 発光 / 白色 / 青色 |
Research Abstract |
(1)直流駆動の青色発光無機薄膜ELデバイスの開発 前年度に引き続き、直流駆動の青色無機ELデバイス用の酸化物透明導電膜および青色酸化物蛍光体について検討した。透明導電膜についてはスプレー法によるAbドープSnO2(ATO)膜において、透明性に優れ、かつ低抵抗な膜を作製するための作製技術を確立した。また、酸化物蛍光体については、BiまたはEu付活酸化物蛍光体薄膜において有望な材料をいくつか見出すことができた。具体的には、LaInO3:Bi薄膜において、適切な添加物と適量のBiを使用した原料溶液を用いることにより、LaInO3の結晶化と波長約425[nm]をピークとする強い青色発光を実現した。また、CaAl2O4:Eu薄膜において、高温炭素熱還元処理を施し、かつEu濃度を最適化することで、波長約420[nm]をピークとする強い青色PLが実現された。しかし、これらの蛍光体薄膜を用いた直流駆動による青色ELはまだ実現されておらず、今後も検討が必要である。 (2)青色光励起対応の黄色酸化物蛍光体薄膜の開発 前年度に引き続き、Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)蛍光体薄膜における黄色発光の高効率化について検討した。具体的には、コンビナトリアル・ディップコート法を用い、{(Y2O3)1-x-(Al2O3)x}:Ce蛍光体において強い発光を得るための詳細なAl組成(x)について検討した。その結果、x=約0.58(Yがやや過剰)において最も強い発光が得られることを明らかにした。さらに均一沈殿法を用いてYAG:Ceナノ蛍光体を作製し、作製条件と得られた蛍光体の結晶学的特性や発光特性との関係について詳細に検討した。その結果、生成される結晶粒子の凝集を抑え、かつ高いPL強度を実現するためには、原料溶液中の原料の濃度とpHの制御、ならびに沈殿物生成時の加熱温度の制御が重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直流・低電圧駆動による青色薄膜ELデバイスがまだ実現されていない。しかしながら、酸化物透明導電膜および青色酸化物蛍光体薄膜の開発は十分に進んでおり、これらを用いた青色ELデバイスを実現するためのデバイス構造の開発を集中的に行う必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)直流駆動の青色発光無機薄膜ELデバイスの開発 青色ELデバイスを実現するための積層薄膜形成技術および高温ラピッドサーマルアニール処理技術を確立する。また、青色ELを実現可能な透明導電膜酸化物半導体材料(n層)、青色酸化物蛍光体材料(i層)、およびp型酸化物半導体材料について継続的に検討する。酸化物材料のみで青色ELデバイスの実現が困難な場合には、有機半導体や硫化物系材料を積極的に使用する。また、直流駆動による青色ELの実現が困難な場合には、交流駆動によるELデバイスについても検討する。 (2)青色光励起対応の黄色酸化物蛍光体薄膜の開発 YAG:Ce蛍光体の粒子形状および粒子径(サブミクロンからナノサイズの粒子径)を制御するための作製方法について検討する。 (3)白色発光無機薄膜ELデバイスの試作 上記の青色無機ELデバイスと黄色蛍光体薄膜(もしくは黄色蛍光体を有機樹脂に分散させた蛍光体層)を組み合わせたELデバイスを作製する。さらに、黄色蛍光体層の厚さを調整し、平均演色評価数(Ra)が約60以上の白色発光を呈するELデバイスを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費を別の予算より捻出したため 本研究課題を遂行するための消耗品費(薬品やガス等)として使用する予定である。
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