2013 Fiscal Year Research-status Report
2次元電磁波バンドギャップ構造の導波理論とミリ波平面回路への応用
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24560430
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
安元 清俊 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (60037926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 洋 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50264073)
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Keywords | 2次元平面導波路 / 電磁波バンドギャップ効果 / 2次元フォトニック結晶 / 金属ポスト / マイクロ波・ミリ波受動デバイス |
Research Abstract |
【安元担当】 円柱ポストで構成した2次元平面導波路(以下、ポストアレイ導波路と記述)における横方向への電磁界の漏れによる伝搬損失について検討した。摂動法による計算方法とエネルギー保存則を基にした計算法を提案し、両者による計算結果が良く一致することを示した。前年度に提案した結合モード方程式を使って結合ポストアレイ導波路の結合特性を解析した。偶モードと奇モードの伝搬定数及び結合長を求め、その結果が他の手法から得られた結果と一致することを確かめた。誘電体や導体からなる円柱ポスト列をポストアレイ導波路内に配置して構成した受動回路素子の解析法として、ポストアレイ導波路を等価な実効横幅を持った方形導波管で置き換え、イメージ理論と2次元フォトニック結晶の理論を使って解析する方法を提案した。 【前田担当】 アルミニウムを用いた正方格子型のポスト配列の中ほどに、伝搬方向と直角な方向に延びる共振器を設けたフィルタ回路を設計し、共振の鋭さを示すQ値が10,000 を超える良好な結果が得られることを実験で確認した。2次元ポストアレイ導波路のなかで、120度曲がりを2段接続した構造とY字型分岐構造に対して、CIP 技法を用いた波動伝搬解析コードによる数値解析を行った。ポストがアルミニウムの場合、ポスト列が一層でも電磁界を閉じ込めることができ、曲り部の周辺に寄生ポストを適切に配置することで曲り部分からの放射を低減できることを明らかにした。また、これらの構造に対してマイクロ波モデル実験システムを使って伝送特性を測定し、数値解析結果とよく一致する実験結果を得た。ポストアレイ導波路をアルミニウム円柱列で構成した場合と、誘電体(セラミック)円柱列で構成した場合の伝搬定数を比較し、誘電体の方が等価的に横幅の広い方形導波管の伝搬定数に近い傾向を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論解析とモデル実験で得られた結果は、種々の導波路構造に対して互いによく符合している。昨年度と同様に、本研究課題で開発した準解析的手法、CIP技法を用いた波動伝搬解析コード、およびマイクロ波モデル実験システムがそれぞれ妥当であることを相互に補完し合う関係になっている。また、金属導波管との比較により、ポストアレイ構造の伝搬特性を簡易に把握する見込みが立ちつつある。ポストアレイ導波路の基本モードの伝搬定数と界分布に着目して、導波路に等価な実効横幅を持った方形導波管が定義できることを解析的に示した。これにより、ポストアレイ導波路の問題を等価な方形導波管の問題に置き換えて議論することが可能になった。具体例として、誘電体や導体の円柱ポスト列をポストアレイ導波路内に配置して構成した帯域フィルタを方形導波管モデルで解析し、その結果が他の数値解法を使って計算された結果と非常に良く一致することを確認した。 使用しているマイクロ波実験システムはスケールモデルを採用しているので、折れ曲がり、多分岐、共振回路、スタブ回路、方向性結合器など、ポストアレイ導波路の様々な構造の設定に対して柔軟に対応できる。モデル回路におけるポストの位置ずれも波長の1%未満に抑えることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度は、ポストアレイ導波路中に設けた共振器、方向性結合器、および分岐回路に関する解析とマイクロ波モデル実験を行う。解析では、結合モード理論、イメージ理論および2次元フォトニック結晶の理論(安元 担当)とCIP技法を用いた波動伝搬解析コード(前田 担当)を用いる。モデル実験では、誘電体あるいはアルミニウムポスト列を上下2枚の導体平板で挟んだマイクロ波伝送システム(前田 担当)を利用する。いずれの受動回路においても、装荷する共振器やスタブ回路の構造の最適化を図り、回路の入出力特性に所望の周波数選択機能を持たせるようにしたい。折れ曲がりや分岐回路に対しては、平成25年度の研究で基本的な特性を把握することができたので、平成26年度は、更に曲がり部での洩れ放射を抑制できるポストアレイ構造の検討と電力分岐比の周波数平坦化について検討を進めたい。 実験面では、共振器や方向性結合器のためのモデル回路の作製が中心課題になる。平成25年度と同じ実験システム使用する。このシステムの特長として、モデル回路のポスト位置のずれの大きさを最大に見積もっても波長に対して1%未満に抑えることができる。モデル回路の作製と測定では、福岡工業大学・大学院学生による実験補助を計画している。海外共同研究者として、引き続き、Vakhtang Jandieri 教授(Free University of Tbilisi, Georgia)の研究協力を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた国際会議(1件)への参加をとりやめたため、予定していた海外旅費と会議登録費が未使用となり、平成25年度の研究費に未使用額が生じた。 平成26年度の国際会議参加のための旅費及び会議登録費に充てる予定である。
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Research Products
(10 results)