2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560434
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
関根 徳彦 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所超高周波ICT研究室, 研究マネージャー (10361643)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 光デバイス / カスケード / レーザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、テラヘルツ(THz)領域の光源の実現を目的としており、特に新たな高性能THz帯量子カスケードレーザ構造の検討を行っている。研究計画の最終年度にあたる本年度は、昨年度から行ってきたシミュレーションを元に構造設計を行い、実際に結晶成長を行うと共にデバイス作製とその評価を行った。 前年度から検討してきた活性層構造の設計指針を基に、GaAs/AlGaAs系材料を用いたエピタキシャル結晶成長をMBE法により行った。このエピウェハーについてレーザ作製プロセスを行ったが、今年度から稼働を始めたプロセス装置を利用することにより、安定的なレーザプロセスが可能となった。これにより作製したmetal-metal導波路構造を有するTHz帯量子カスケードレーザ素子について、デバイス評価を行ったところ、レーザ発振は得られなかったが、設計通りの電流-電圧特性は得られ、また設計動作電圧付近にて、熱の効果以外の光出力が観測されており、今後の研究に期待ができる結果が得られた。 また、レーザ素子のキャリアダイナミクス等の物理的理解を得るため、外部から励起光を入射し、レーザ素子内部に擾乱を与えることにより、これがレーザ動作へ与える影響について調べた。レーザ端面にフェムト秒パルスを照射すると、発振スペクトルのシフトが起こり、そのシフト量やスペクトル形状はレーザのバイアス電流によっても異なることが観測された。このスペクトルの挙動は、光誘起四光波混合による横モードのモードホッピング・ピークマージとして理解できることが分かった。 更に外部励起光の強度を上げて強励起状態にすると、スロープ効率の変化を観測することができ、こちらは引き続き理論との比較を行いながら、活性層内部のキャリアダイナミクスを検討していく。これらの結果は、今後のTHz帯量子カスケードレーザ開発にフィードバックしてゆく。
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