2012 Fiscal Year Research-status Report
理論解析結果に基づく適応制御を用いたエルミート対称符号化OFDM方式
Project/Area Number |
24560448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
笹森 文仁 信州大学, 工学部, 准教授 (70298090)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | OFDM / エルミート対称符号化 / ビット誤り率 / スループット / 理論解析 / 閉じた形の計算式 / 誤り訂正符号化 / 多シンボル遅延検波 |
Research Abstract |
本年度は,まず初めに,OFDM変復調のベースである離散フーリエ変換の性質を積極的に活用するための符号化(エルミート対称符号化)を採用したHC-OFDM方式の伝送特性(ビット誤り率特性およびスループット特性)を理論的に解析し,閉じた形の計算式を導出した.従来の繰り返し符号化を施したOFDM(RC-OFDM)方式では,チャネル利用効率を向上させる手段として変調方式を多値化しているが,その結果,電力利用効率は劣化することになる.一方,提案方式では,生成されるOFDM信号が実数成分のみとなる離散フーリエ変換の性質を利用しているため,無線回線の同相チャネルと直交チャネルとで別々のデータを送信することができ,多値化することなくチャネル利用効率を理論上2倍に増加させることができる.本検討により,RC-OFDM方式を対象とした解析手法を応用することで,HC-OFDM方式の伝送特性を解析できることがわかり,HC-OFDM方式の優位性を理論的に証明した. 次に,雑音およびフェージング対策技術として知られている各種無線通信技術をHC-OFDM方式に適用したときの特性改善効果について解析するべく,本年度はその基礎検討を行った.具体的には,シングルキャリア方式を前提とし,誤り訂正符号化として注目を浴びているLDPC符号化と,フェージングチャネル推定が不要で同期検波に匹敵する復調特性を示す多シンボル遅延検波を同時に実装する方法について検討した.また,HC-OFDM方式におけるOFDM信号が実数成分のみであることを活用し,各種ベースバンド伝送への適用の可能性も検討した.具体的には,無料で使用できる無線音声回線への適用や,可視光通信への適用の可能性について検討した.本検討は次年度も引き続き行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HC-OFDM方式における伝送特性は,陸上無線回線の伝送状態を決定するパラメータ(搬送波電力対雑音電力比(CNR)および多重波伝搬路(マルチパス)の遅延広がり)と,送受信機の設定パラメータ(変調方式,サブキャリア数,ガードインターバル長,パケット長など)によって変化するが,それらの値を代入するだけで伝送特性が計算できる「閉じた形の計算式」を導出したことによって,最終目標である「常に最良の伝送特性が得られるような,理論解析結果に基づいた送受信機の適応制御方法」を実現するために必要な準備の一つが着実に整ったといえる. また,陸上無線回線において伝送特性の改善が期待できる技術として,マルチアンテナ(MIMO)技術や誤り訂正技術,多シンボル遅延検波技術などが挙げられるが,それらのうち誤り訂正技術と多シンボル遅延検波技術をHC-OFDM方式に適用するための基礎検討を初年度に着手できたことで,次年度への弾みになったといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
雑音およびフェージング対策用の各種無線通信技術の基礎検討を引き続き行うとともに,HC-OFDM方式に適用したときの特性改善効果をシミュレーションにより明らかし,理論的に解析を加える行う予定である.また,HC-OFDM方式は無線回線の同相チャネルと直交チャネルとで別々のデータを送信できることが特徴であるが,両チャネルを簡易に分離して復調する方法について検討する予定である.最終的には,これまでの検討で得られた理論解析結果を用いて陸上移動無線回線の伝送路状態から伝送特性を推定し,送受信機の適応制御に活用する信号処理方法を提案する予定である.また,実用化という観点では,適応制御方法の簡素化も視野に入れて研究を遂行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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Research Products
(8 results)