2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560450
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 俊彰 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30273262)
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Keywords | 自由視点映像 / 奥行きマップ / 光線空間 / 疎表現 / エピポーラ平面画像 / 圧縮センシング |
Research Abstract |
本研究の目的は,自由視点映像を生成するためのデータ形式として,映像(View)と奥行情報(Depth)を用いるという従来の手法の枠組みを超え,自由視点映像を生成するための新しい表現形式(Representation)を研究するものである.今年度は,(1) EPIのブロックを効率的に表現できる基底の探求と,(2) 圧縮センシングの枠組みにおいて係数の重み付けを行うことにより再構成品質を向上させる試みを行った. 一つ目は,光線空間の水平断面であるEPI(Epipolar Plane Image)の小ブロックのデータを効率的に表現できる基底の探求である.従来よく知られている直交基底である離散コサイン変換(DCT)基底と離散アダマール変換(DHT)の基底を用いて電力集中度を検討した.次に,EPIのパターンが傾きを持った直線群からなるという性質を積極的に利用し,ガボール(Gabor)関数を元にした基底群を生成して同様な実験を行った.用いる基底のパラメータとしては,減衰係数,x,y 方向の各周波数,位相,そして傾きの5個のパラメータを変化させ,基底群を構成した.その結果,複数のEPI画像に対して,DCTやDHTの基底を用いるよりも電力集中度が高く,従ってスパース性の高い基底を構成できることが確認できた.以上の結果を学会誌論文としてまとめ上げた. 二つ目は,圧縮センシングに基づく再構成に関する研究である.スパース性を用いて原信号を再構成する際に使われるL1ノルムは,各係数の重要性の大小は考慮されていないことに着目し,上記のように電力集中度の高い基底が構成できることを前提にして,各係数の重要性を陽に用いる再構成法を考案した.実験の結果,従来法よりも高品質の再構成画像が得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は,24年度に得られた知見に基づき,密な間隔で取得された光線空間での理論を拡張し,疎な光線空間についての標本化・再構成の理論へと発展させ,さらにこの理論に基づく自由視点映像の表現法(Representation)を開拓することであった. まずは,一つ目の達成事項により,密な光線空間を効率よく表現できる基底を導くことができた.ガボール(Gabor)関数を元にした基底群を用いてEPIパターンを表現すると,従来よく知られている他の直交基底を用いた場合よりも疎性が高まることが実証された.これにより,疎な光線空間についての標本化・再構成の基礎となる基底の基礎的なデザインをすることができた. また,二つ目の達成事項により,上記のような電力集中度が高くなる基底を用いた場合に各係数の重要性を陽に用いる手法が確立され,再構成画像の高品質化に成功した.これは,疎な光線空間再構成において,従来法よりも高品質に再構成できることを実証した点に意味があり,自由視点映像の表現法を考える上で,基底のみならず再構成の手法も同様に重要であることを示したことになる. これらにより,今年度の目標であった自由視点映像の表現法(Representation)を開拓という目標はほぼ達成したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究期間の最終年度であり,前年度に道筋をつけた自由視点映像の表現法(Representation)に基づいて,その情報を得るための取得原理を研究するとともに,実際の光学系を意識したシミュレーションを行い取得原理の検証を行う.具体的には,以下の手順に従って研究を進めていく. 1.前年度に定式化した表現方法(Representation)に基づいたデータを取得するための原理を研究する.その際,実際の光学系の構成など実現可能なものであることに留意する. 2.前期の知見に基づいて,実際の光学系を念頭においたシミュレーションを行う. 3.2の性能を評価し,1の原理の改良を行う.1-3を繰り返し行い,最適な原理を探求していく. 4.以上の知見をまとめ,開発した自由視点映像の表現法(Representation)と,その情報を得るための取得原理の基礎資料として整備する.
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