2013 Fiscal Year Research-status Report
時空間符号化とネットワーク符号化による超高信頼な無線通信方式の開発
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24560454
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩波 保則 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40144191)
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Keywords | 符号化 / MIMO / リレー / LDPC / 等化器 / ARQ / MLSE |
Research Abstract |
本研究は、無線通信の信頼性とリアルタイム性を飛躍的に高める為に、時空間符号(Space Time Code)化とネットワーク符号化を用いることを目的としている。 平成25年度は、研究計画・方法で述べた、周波数選択性MIMO通信路におけるシングルキャリヤー伝送を用いた時空間符号化方式に関して、周波数選択性MIMO通信路におけるMアルゴリズムMLSEターボ等化器に関して研究を行った。 すなわち、周波数選択性MIMO通信路における空間多重通信方式に関し、LDPC符号化MIMO MLSE-Mアルゴリズムターボ等化受信方式を検討した。 Viterbi Algorithmを用いたMLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation:最尤推定系列)等化器は、最良のBER特性を示す等化器であることが知られている。本研究では、マルチパス遅延波によるISI(Inter Symbol Interference)及び空間多重によるIAI(Inter Symbol Interference)の補償を行うのに、まずMLSE等化器を用いる。 次に、Mアルゴリズム等化器では、ISIとIAIの増加に伴うMLSEのトレリス線図の状態数の増加を抑制するため、トレリス線図の状態数を1と固定し、生き残りパスの数をM本として近似的に最尤送信信号系列を求め、演算量を削減する。LDPC符号化した場合に対し、LDPC復号器の信頼度の高い軟値復号結果をMアルゴリズム等化器にフィードバックし、Mアルゴリズム等化器のISI及びIAIの補償能力を高める。またフィードバックを繰り返す際に、Mアルゴリズム等化器の生き残り本数を減らすことでさらなる演算量の削減を目指した。既存のLDPC符号化MLSEターボ等化器、LDPC符号化SC/MMSEターボ等化器との比較を通し、そのBER特性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した周波数選択性MIMO通信路におけるシングルキャリヤー伝送を用いた時空間符号化方式の研究実績に加え、多元Rate-Compatible LDPC符号化MIMO SC-FDMA Type II Hybrid-ARQリレー伝送方式のスループット特性の評価に関しても研究を順調に進めることが出来たからである。 以下この研究実績につき述べる。高い誤り訂正能力を持つLDPC符号は任意の拡大ガロア体上で構成することができ、一般に用いられる二元LDPC符号に対し、多元LDPC符号はBER特性が良くなることが知られている。また、符号化率を可変にできる多元Rate-Compatible(RC) LDPC符号を構成でき、同一の復号器を用いて復号できる。この多元RC LDPC符号はARQ(Automatic Repeat reQuest)方式におけるIncremental Redundancyを用いた再送に適した誤り訂正符号である。本研究では、端末からアクセスポイントなどの上りリンクで用いられるMIMO interleaved SC-FDMA方式において、多元RC LDPC符号を用いたType II Hybrid-ARQ方式を、Decode and Forward(DF)を用いたリレー伝送と組み合わせた。この結果、スループット特性及び平均再送回数特性が、無符号化、Type I Hybrid-ARQ方式及びDFリレーが無い場合に比べ、大きく改善されることを計算機シミュレーションにより確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、ネットワーク符号化等を用いた複数経路(リレー中継)によるダイバーシチ効果等を研究する。 MIMOシングルキャリヤー伝送方式は、PAPR特性が良いことから送信機に非線形増幅器が使用でき、バッテリー電力消費が少なく電力効率に優れている。したがって、病院内の患者モニター送信機器とナーシングセンター間の通信や、工場における移動ロボットと中央コントロール室間のデータ通信などに向いている。誤りが無く1回限りの送信で済むリアルタイムな超高信頼度無線データ通信を実現するため、多アンテナを有する中継器(リレー)を複数用いるネットワーク符号化とMIMOシングルキャリヤー伝送方式を統合した、再送を用いなく伝送遅延の無い超高信頼度無線リレー伝送方式を引き続き研究する。 このように誤りを含まないパケットを伝送することが、最終的な研究推進の目標である。病院や工場などの医療機器やロボットの制御における超高信頼無線制御信号伝送方式用の送受信システムとしても使用できると考えられる。
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