2012 Fiscal Year Research-status Report
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24560460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉留 健 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70612612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再符号化 / トランスコード / MPEG-2 / H.264 / 量子化雑音 |
Research Abstract |
本年度は、初段MPEG-2量子化マトリックスの再利用により、再符号化画質の向上を目指す研究を進めました。MPEG-2ではサイズ16x16の量子化マトリックスで直交変換された画像がDCT成分毎に量子化ステップΔで量子化(除算)されて整数値化されます。この整数値化で混入する量子化雑音が再符号化画質の劣化の原因です。圧縮された映像データのサイズの削減を目的に再符号化は行われることが多いので、初回符号化時の量子化ステップΔ1よりも、大きなΔ2を使って一般に再符号化は行われます。そのため、画質劣化はある意味では避けられせん。そこで、すべてのDCT係数を量子化ステップΔ2で除算するのではなく、人間の視覚特性上で敏感な低周波数側のDCT係数は量子化ステップΔ1で除算して量子化雑音の混入を防ぎ、高周波側のDCT係数を大きな量子化ステップΔ2で除算することで、人間が鈍感な高周波側の雑音の増加と引き換えに、大きなデータ圧縮量を実現する方法を着想し、これをテストプログラムに実装し、性能評価を行いました。再符号化で混入する雑音電力をPSNRとして測定したところ、従来より少し良いか同程度の結果でしたが、人間の視覚特性に近いといわれているSSIM指標では、再符号化率(もとの圧縮映像サイズと再符号化した映像サイズ の比)が平均0.428までの再符号化ならば、提案手法が高画質を実現していることが分かりました。この成果は2012年11月の国際会議Image Electronics and Visual Computing Workshop 2012(IEVC2012)で発表いたしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初、同一符号化規格間について再符号化の研究を進める予定でした。具体的にはMPEG-2からMPEG-2への再符号化について、変換画質の改善や圧縮データ量の削減などを進めてまいりましたが、全ての符号化規格をまず調査、分析したのちに研究全体を進める方が高い研究効率が得られると判断しました。このため、HEVC等の新しい規格の調査等に時間がとられましたが、来年度以降の効率的な研究推進が可能となっただけでなく、MPEG-2からH.264へのトランスコードに関する研究成果の一部を国際会議発表できたことから、おおむね順調に進展していると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、MPEG-2とH.264だけでなく、2013年1月にITU-Uなどで規格化されたHEVCを取り込んだ形での再符号化手法の検討を進めたいと考えています。特にHEVCはH.264の2倍とも言われる高圧縮が可能な符号化ツールと見なされており、既存のMPEG-2,H.264とHEVCを繋ぐ再符号化技術を研究する予定です。また、NHKが提唱するスーパーハイビジョンのようにHDTVを超える画像サイズを対象とした技術の重要性が増すことが予想されるため、画像サイズやフレームレートの変換を伴なった再符号化についても検討を進めたいと考えています。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年は、研究効率向上を目的に当初予定していなかった符号化規格に関する広範な調査等を行ったため、コンピュータを使った符号化実験が少なくなり、当初購入を予定していた高性能コンピュータの購入を見送りました。次年度はHEVC等の高性能符号化ツールのシミュレーション実施において非常に大きな演算能力が必要となるため、高性能コンピュータや映像表示装置や高性能映像レコーダなどの周辺機器を導入します。また、最先端の符号化技術の収集を目的に、画像処理関連の国際会議や海外の放送技術展示会に参加します。
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Research Products
(1 results)