2012 Fiscal Year Research-status Report
想定外への対処を目指すアシュアランスネットワーク技術の研究
Project/Area Number |
24560471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
石田 賢治 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (70221025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
舟阪 淳一 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60322377)
小畑 博靖 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (30364110)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロトコル / アシュアランス性 / 重要通信サービス |
Research Abstract |
以下のように想定外の事象にタイムリーに対応可能な技術に関して検討した。 (1)被災地における通信環境として想定される衛星回線と無線LANを組み合わせた環境において、衛星回線に適したTCP輻輳制御であるTCP-STARを実験的に評価した。超高速インターネット衛星WINDSを用いた実験の結果、衛星回線における遅延時間よりも無線LANアクセスポイントのMAC制御による遅延変動の影響を受け、スループットが安定しない場合があることが分かった。 (2)ネットワーク仮想化による強度輻輳にも耐える緊急重要通信技術の低優先TCPに関して検討した。低優先TCPは、最低限のスループットを獲得する制御を行う。そのため、この技術は、災害時における緊急情報のように小さいデータ量ではあるが常時提供すべき情報を継続して送信する際に利用可能である。 (3)無線LAN環境において想定外の動作をする可能性のあるMACパラメータを改造した端末(MAC改造端末)に対するQoS制御について検討した。無線LANのアクセス制御であるCSMA/CAでは、各端末が制御パラメータを持つため、自己のスループット向上を目的としてMAC改造端末が利用される可能性がある。そこで、アクセスポイントにおいてMAC改造端末の送信機会を制御する方式を提案した。シミュレーション評価の結果、提案方式はMAC改造端末のスループットを制御可能なことが分かった。 (4)パケットロスの発生するネットワークにおいても性能を維持する技術について検討した。ランダムにパケットロスの発生するネットワークにおいて、パケットに信頼性を選択的に付与するPR-SCTPを用いてパケットロスの影響を緩和する技術を提案した。また輻輳のない場合にはパケットロス率の高いネットワークでも高い性能を維持し、強度輻輳の発生した場合には他のTCPと同程度に性能を抑える技術を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、異種でかつ変化する想定外の事象への対応能力を持つ、重要通信サービスを提供可能な通信制御技術を開発するため、(1)想定外の事象にタイムリーに対応可能な技術(2)ネットワーク仮想化による強度輻輳にも耐える緊急重要通信技術、の2つの技術について検討している。初年度は、開発技術の基盤となる技術についての検討および評価を行った。また、この成果に基づき、それぞれの技術の基礎的検討を行った。さらに、(1)(2)それぞれについて、成果の一部を電子情報通信学会の研究会において発表しており、概ね計画通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)想定外の事象にタイムリーに対応可能な技術の開発 まず、有線、無線混在ネットワークに対する検討に関して、初年度に引き続きMAC制御を利用したQoS制御とトランスポート層のQoS制御を組み合わせた制御の検討を行う。特に、MAC層とトランスポート層のパラメータを協調させることで、特定フローを制御するだけでなく、ネットワーク全体の帯域利用効率も向上させることを目指す。 次に、超高速衛星ネットワーク制御に対する検討に関して、初年度に実施したWINDSと無線LANを用いた実験結果を基に超高速衛星回線の帯域を上手く使い切るフロー制御技術を開発する。 (2)ネットワーク仮想化による強度輻輳にも耐える緊急重要通信技術の開発 初年度では、最低限のQoSを保証できる可能性がある低優先TCPを無線LANに適用した場合の評価を行い、また、無線LAN環境における強度輻輳に耐えうるTCP制御の検討を行った。次年度では、無線LAN環境だけでなく、他の無線回線(衛星回線、WiMAX)や有線回線が混在する環境に適用可能な技術について検討する。 次年度では、初年度に引き続き主にシミュレーションによる評価を行う。また、(1)(2)についてそれぞれ、基礎的な検討が終わっているものについては、実機による評価を目指す。さらに、得られた成果を電子情報通信学会などの研究会や論文誌、および、IEEEの国際会議へ積極的に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は、基礎的な検討が多く、検討した技術のシミュレータへの実装が計画時に想定していたよりも少なかったため、残額が発生した。次年度は、初年度に実装していない技術に加え、当初計画していた技術の実装および評価を行う必要があるため、初年度の残額と次年度の研究費を合わせて利用する予定である。また、初年度に得られた成果を研究会等で発表するための旅費として利用する予定である。
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Research Products
(11 results)