2013 Fiscal Year Research-status Report
想定外への対処を目指すアシュアランスネットワーク技術の研究
Project/Area Number |
24560471
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
石田 賢治 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (70221025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
舟阪 淳一 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60322377)
小畑 博靖 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (30364110)
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Keywords | プロトコル / アシュアランス性 / 重要通信サービス |
Research Abstract |
平成25年度では、想定外の事象へのタイムリーな対応を目指すアシュアランスネットワークの要素技術として、以下について検討した。 (1)異なるプロトコル階層を協調動作させるクロスレイヤ制御の検討として、MAC制御を利用したQoS制御とトランスポート層のQoS制御を組み合わせた制御の通信特性を評価した。評価では、通信方向と制御強度の関係について詳細に考察した。その結果、通信方向の組合せにより、QoSを保証するために必要な制御強度の傾向が大きく異なることが分かった。 (2)マルチレート無線LAN環境において、システム全体のスループットを向上するためには、アクセスポイントと端末の配置が重要となる。そこで、端末の分布を考慮したアクセスポイントのスループット予測法を検討した。提案方式を利用することで、災害時において無線LANにより通信可能な端末数の最大化を目指すことができる。 (3)強度輻輳状態となった無線LAN環境において、TCP通信のスループットを保証する制御として、アクセスポイントにおいて各端末のスループットを制御する方式を検討した。本技術は、TCPの受信ウィンドウサイズのみ調整するため、パケットを廃棄する従来技術と比べてQoSを要求しない通常端末に対する影響が少ないという特徴を持つ。 (4)緊急時における重要情報を高速に流通させるため、複数のネットワークインタフェースと複数の経路を同時に利用するダウンロード再生技術を提案した。また、SCTPマルチストリーム機能を用いたデータ送信における通信性能を、パケットが連続して損失するネットワークにおいて検討し、その効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、異種でかつ変化する想定外の事象への対応能力を持つ、重要通信サービスを提供可能な通信制御技術を開発するため、(1)想定外の事象にタイムリーに対応可能な技術(2)ネットワーク仮想化による強度輻輳にも耐える緊急重要通信技術、の2つの技術について検討している。平成25年度は、輻輳状態を考慮したQoS制御を検討するとともに、システム全体のスループット向上に関する検討も行った。また、データ到達性向上が見込める複数インタフェース利用に関する検討も行った。その結果、(1)の成果の一部をまとめた論文が電子情報通信学会の和文論文誌に採録された。さらに、(1)(2)それぞれについて、成果の一部をIEEEの国際会議、および電子情報通信学会の研究会において発表しており、概ね計画通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)想定外の事象にタイムリーに対応可能な技術の開発 有線・無線混在ネットワークに対する技術として、引き続きMAC制御を利用したQoS制御とトランスポート層のQoS制御を組み合わせたクロスレイヤ制御を検討する。前年度までに得られた知見を基に、通信方向の組合せ、および端末の位置を考慮することで、QoSを保証するたけでなくシステム全体のスループットを可能な限り向上する方式を検討する。 (2)ネットワーク仮想化による強度輻輳にも耐える緊急重要通信技術の開発 強度輻輳に対応可能な緊急重要通信技術として、前年度までに検討した最低限のQoSを保証するTCP、および、中継端末でTCPのウィンドウサイズを制御する技術を統合した通信技術の検討を行う。また、複数の無線インタフェースを同時、または、適宜切り替えながら通信の継続性を向上させる技術の検討も行う。 次年度では、主にシミュレーションによる評価を行う。また、(1)(2)についてそれぞれ効果が明らかになったものから実機による評価を目指す。さらに、得られた成果を電子情報通信学会などの研究会や論文誌、および、IEEEの国際会議へ積極的に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、新たな通信技術の検討に重点を置いたこと、また、シミュレーション実験による基本性能評価を主に行ったため、想定したよりも残額が発生した。 次年度は、開発技術の実装および評価を行う必要があるため、平成25年度の残額と次年度の研究費を合わせて利用する予定である。また、得られた成果を研究会等で発表するための旅費、および、論文別刷り代として利用する予定である。
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Research Products
(17 results)