2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560479
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 登 東邦大学, 理学部, 教授 (00237041)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 位相等価回路 |
Research Abstract |
波形伝送におけるディジタル通信回路は非線形位相特性をもつため、受信信号の波形が歪んでしまい、通信の品質が著しく劣化する。本研究の目的は通信回路の非線形位相特性を補償できる位相等価回路(フィルタ)の最適設計法を開発し、通信回路の非線形位相特性の補償を行って通信路全体の位相特性を線形位相にすることで波形伝送の歪を無くし、高品質・高忠実度波形伝送を実現することである。 平成24年度の研究では、線形計画法(linear programming: LP)及び特に近年注目されている2次錐計画(second-order-cone programming: SOCP)という2種類の最適化手法に基づく全域通過位相等価回路の最適設計の定式化を行い、多数の設計例を用いて提案した新しい設計法の有効性を確認した。平成24年度の研究では、2種類の位相誤差関数(実誤差関数と複素誤差関数)を導出し、これらの誤差関数をLP設計とSOCP設計の定式化に応用した。実誤差関数の分子と分母の両方が全域通過フィルタの係数の線形関数なので、特にLP設計に適している。また、複素誤差関数の分子は複素関数(実部と虚部)であるため、SOCP設計に適している。LP設計では、制約条件の線形化が不可欠であるため、まずその線形化手法を提案した。また、SOCP設計では、制約条件の2次錐化が必要であるため、24年度の研究では制約条件の2次錐化手法を提案した。提案したLP設計とSOCP設計の有効性が多数の設計例によって確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来存在しなかった全域通過フィルタの様々な誤差関数の導出法を試み、その導出に成功した。更に、新しく導出した様々な誤差関数に基づく線形計画設計(LP設計)と2次錐設計(SOCP設計)の新しい設計法の定式化にも成功した。LP設計とSOCP設計の有効性は多数の設計例を用いて実証した。よって、24年度の研究は予想以上の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の研究では、主に以下の点に重点を置き、これからの研究成果を更に発展させる。 1.もっと有効なLP設計アルゴリズムとSOCP設計アルゴリズムを開発する。そもそも全域通過位相等価回路(フィルタ)の設計は非線形最適化問題であるため、どのような設計においても理論上の大域的最適解(global optimum)という保証がない。これからは如何に大域的最適解に近い(設計誤差が小さい)設計を得るかが研究の重要なポイントである。 2.線形計画法と2次錐計画法以外の最適化手法に基づく全域通過位相等価回路の最適設計アルゴリズムを開発する。これにより、大域的最適設計に近い設計結果を得ることが可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の使用予定の研究費は少し残った。これは本来予定していた国際会議での論文発表をキャンセルしたためである。この残額を平成25年度に請求した研究費と合わせて使用し、研究を更に推進する予定である。具体的には、新しい研究成果をどんどん国際会議で発表し、情報発信したい。また、必要に応じて海外の研究者との共同研究も必要であり、新しい発想につながる研究を進める。更に、研究に必要な消耗品の購入なども必要になってくる。
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Research Products
(6 results)