2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560479
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 登 東邦大学, 理学部, 教授 (00237041)
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Keywords | 位相回路 / 位相補償 / 波形伝送 |
Research Abstract |
ディジタル通信においては、ディジタル通信回路の位相特性は非線形であるため、受信信号の波形が歪んでしまい、通信品質の劣化が生じる。本研究では、通信回路の非線形位相特性を補償できる全域通過ディジタルフィルタの最適設計法を開発し、ディジタル通信回路の非線形位相特性を補償するため、ディジタル位相補償システムを設計し、それを非線形位相通信回路に接続して、通信路全体の位相特性をほぼ線形にすることによって、通信信号の波形歪みを無くし、高品質・高忠実度波形伝送を実現する。平成25年度の研究では、平成24年度の研究で導出した全域通過ディジタル位相回路の様々な位相誤差関数を利用し、主に以下の全域通過ディジタル位相回路の最適設計法を開発した。 1.線形計画(Linear Programming: LP)による繰り返し設計法:導出した双線形位相誤差関数に基づき、全域通過ディジタル位相回路のminimax設計問題を繰り返し線形計画問題に帰着させ、LP問題を繰り返し解くことにより、全域通過ディジタル位相回路を設計することができる。複数の設計例を用いてこの繰り返しLP設計法の有効性を実証した。 2.Lpノルムによる設計法:導出した位相誤差関数のLpノルムを用いて、自然数pの値をだんだん大きくすることによって、最終的に全域通過ディジタル位相回路のminimax設計を行うことができる。 3.非繰り返し回転錐(Rotated Cone: Rcone)設計法:全域通過ディジタル位相回路のminimax設計問題をRcone計画問題に帰着させる新しい設計法を開発し、具体的設計例を用いてこの設計の有効性を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提案した線形計画(Linear Programming: LP)による新しい繰り返し設計法は従来のLP設計法より設計精度が高く、より精度の高い全域通過ディジタル位相回路を設計することに成功した。また、非繰り返し回転錐(Rotated Cone: Rcone)という新しい設計法の定式化は初めての試みであり、全域通過ディジタル位相回路の新しい設計法としてその新規性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では、主に以下の幾つかの点に着目し、本研究を更に発展させて行く。 1.更なる精度の高い線形計画設計法(LP設計法)を開発し、全域通過ディジタル位相回路の設計精度を高める。 2.非繰り返し回転錐(Rotated Cone: Rcone)設計法の考え方を繰り返しRcone設計法に拡張し、全域通過ディジタル位相回路の設計精度を更に改善する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度は本研究課題の最終年度であるため、蓄積した未発表の研究成果をIEEE主催の重要な国際会議でどんどん発表するための渡航旅費と国際会議の登録料がこれまで以上に必要となることを想定し、25年度の使用予定研究費の一部を残しておいた。 平成25年度の未使用額と平成26年度の請求額を合わせて使用し、本研究を完成する予定である。具体的に、3年間で蓄積した未発表の研究成果をどんどんIEEE主催の国際会議で発表し、世界に向けて情報発信を行いたい。また、状況に応じて海外の一流の研究者との共同研究や情報交換を行うことも必要となる。更に、研究に必要な消耗品の購入も必要となることがある。よって、本研究の最終年度としての平成26年度では、上記の研究費を有効に生かし、本研究課題を立派に完成したい。
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Research Products
(7 results)