2012 Fiscal Year Research-status Report
多重偏波放射を可能とするメタマテリアル螺旋状アンテナの理論と実験検証
Project/Area Number |
24560481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 久松 法政大学, 理工学部, 教授 (00061234)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタマテリアル / 多重偏波放射 / 円偏波 / 1巻螺旋 / スパイラルアンテナ |
Research Abstract |
電気磁気学における誘電率と透磁率の両方または一方が負である材料を,メタマテリアルとよんでいる.本研究は,アンテナ単体で,右旋円偏波,左旋円偏波,水平偏波,垂直偏波を放射できる「多重偏波放射メタマテリアルアンテナ」を創造することにある.今年度は,ループ形状のアンテナとスパイラル形状のアンテナの2重偏波特性(右旋,左旋円偏波放射)に重点をおいて研究を行っていた.研究結果を以下に示す. 1)1巻螺旋形状(ループ形状)アンテナ:1巻螺旋形状アンテナは誘電体基板(厚さ = 1.6 mm,誘電率 = 2.6)上に印刷されている.アンテナ高を低姿勢化するために,アームループにインダクタンス及びキャパシタンスを挿入している.平衡条件周波数を3.0 GHz,使用するグランド板の大きさを L × L ( = 110 mm×110 mm ) としている.アームの端点から給電すると, 周波数2.6 GHz 付近で左旋円偏波,3.6 GHz 付近で右旋円偏波が放射される.ループの円周長は,これらの周波数において,約1導波波長となっている.つまり,円偏波を発生させる条件を満たしている.2.6 GHz付近,及び3.6 GHz付近における円偏波帯域は,それぞれ,14.17%,14.27%と算出される. 2)スパイラル形状アンテナ:右手系と左手系のメタマテリアル伝送線路で作られた, 単線スパイラルアンテナを検討している.このアンテナは超低姿勢(0.016波長)でバランを必要としていない.解析と実験の結果,スパイラルアンテナの円偏波放射は,異なった周波数に於いて右旋円偏波と左旋円偏波となる.さらに,約7%の周波数帯域内で3dB以内の軸比と安定した利得が得られている. 以上,得られた成果の一部はIEEEアンテナ伝播国際シンポジウムおよび日本電子情報通信学会全国大会などで公表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、新材料(メタマテリアルとよばれる)の特性を利用し、新しい機能・性能を有する電子機器の研究開発が、国内外で進みつつある。本研究では、1給電アンテナであっても、異なる周波数において、右旋円偏波、左旋円偏波、水平偏波、垂直偏波を放射できる「多重偏波放射メタマテリアル螺旋状アンテナ」を創造し、検討することにある. その結果、1)「負の位相定数」の効果によって生じる2重偏波放射の動作原理を明らかにできた。2)アンテナの高さを100分の1波長程度に低姿勢化した状態に於ける2重偏波放射の諸特性を明示できた.3)前項1および2の考察から、多重偏波放射における動作周波数帯域(限界値)を明示できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2重円偏波放射(右・左旋円偏波放射)の理論構築の見直しを行う。さらに、2重直線偏波放射(水平・垂直直線偏波放射)の理論構築へと研究を進める。 はじめに、水平・垂直直線偏波放射のうちの、水平偏波放射を実現していく。平成24年度の2重円偏波放射の起こる周波数の中間の周波数(平衡条件周波数)において、水平偏波放射を確立する。このために、平衡条件周波数における電流モードを検討する。 引き続き、垂直偏波放射を実現していく。実現のために、アンテナアームに新たにリアクタンス素子を追加挿入する。このとき、これまでに確立した2重円偏波放射帯域および水平偏波放射帯域に影響を及ぼさないように、リアクタンス素子の追加挿入を検討する。このために、平成24年度同様、当研究室の大学院生の協力を得て計算プログラムを作成し、放射特性の解析を行う。アンテナアーム上の電流に基づき放射パターンを求め、さらに、入力インピーダンス、利得などを検討し、2重直線偏波放射(水平・垂直直線偏波放射)の理論・設計を確立する。 さらに、平成24年度の理論結果(円偏波関連)を実験により検証していく。研究連携者の協力のもとに、2重円偏波放射に重点を置き、理論の妥当性を確証していく。成果の一部をIEEEアンテナ伝播国際シンポジウムおよび日本電子情報通信学会全国大会などで発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品「誘電体基板」「チップキャパシタ素子とチップインダクタ素子」: 理論構築を検証するために、アンテナを作製する。その際、アンテナ導体を誘電体基板上に印刷配線する。このために、誘電体基板を購入する。2重偏波を放射させるために、アンテナアームにチップキャパシタ素子とチップインダクタ素子を挿入する。このため、これらの素子を購入する。 「国内・国外旅費」: 研究成果の発表のために使用する。国外のシンポジウム1回(研究代表者1名+研究協力者大学院生1名)、国内のシンポジウム1回(研究代表者1名+研究協力者大学院生1名)を予定する。 「謝金等」: 研究を進めるにあたり、討論を通して、専門知識の提供を受ける計画がある。専門知識の提供者への謝礼を1回予定している。他に、実験の協力者(本学大学院生2名)への謝金を予定している。 「論文投稿料」: 研究成果を学会論文誌に公表するための投稿料として使用する。論文1通を予定している。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Mtematerial-based curl antenna2012
Author(s)
H. Nakano, T. Sakurada, and J. Yamauchi
Organizer
2012 IEEE-APS International Conference on Wireless Information Technology and systems
Place of Presentation
Maui, Hawaii, USA
Year and Date
20121111-20121116
Invited
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