2012 Fiscal Year Research-status Report
高専の実習工場を活用した任意形状アンテナのビームフォーミング手法の開発
Project/Area Number |
24560489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 桂一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20290702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 導波管スロットアンテナ / 進化型計算手法 / FDTD法 / 導波路の整合 |
Research Abstract |
本研究の目的は秋田高専の施設・設備を用いてアンテナの設計、試作、測定を効率よく行うことができるアンテナラボを構築すること、任意形状アンテナのビームフォーミング手法を開発することである。 平成24年度はアンテナの設計法に関する研究を主に行い、具体的にはマイクロ波帯における導波管スロットアレーアンテナを対象として、(1)導波管スロットアレーアンテナの電磁界解析による設計法に関する研究、(2)進化型計算手法によるアンテナの最適化設計法に関する研究、(3)アンテナのビス挿入による整合法に関する研究、の3つを行った。 進化型計算手法としてmicroGAを採用し、FDTD法と組み合わせたアンテナ設計を行った結果、8スロットにおいて-25~-30dBの低サイドローブ特性が得られた。また、従来型の導波管スロットアンテナの設計理論を基にして設計されたアンテナと比較しても、進化型計算手法によるアンテナ設計は柔軟性が高く、ビーム幅、サイドローブレベルなど、所望する特性を細かく制御できることが分かった。 また、同アンテナを効率よく動作させるためにビス挿入によるアンテナの整合を行った。進化型設計手法を応用して11.8~12.2GHzの周波数帯域においてVSWRを1.19以下に抑えることができ、従来手法よりも反射を抑制することができた。 このほか、実習工場におけるアンテナ試作環境の整備を行い、スロット条件を変えて導波管スロットアンテナの試作を行った。試作アンテナはシミュレーション結果と良好に一致することを確認した。また、進化型計算手法による設計結果をCAD/CAMデータに変換することで設計から試作までを効率よく行えるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はマイクロ波帯におけるアンテナ設計法の確立と試作、測定環境の整備が目的である。 進化型計算手法は計算時間がかかることが難点であるが、スパコンへプログラムを移植することが出来たため条件を変えた計算結果を多数得ることができた。そのため、導波管スロットアンテナの設計に必要なアンテナパラメータ、目的関数、拘束条件などを適切に設定することができ、提案している設計手法をほぼ確立することができたと考えている。 また、実習工場において1からアンテナの試作を行うことができたため、今後は提案している設計手法からアンテナ試作までを効率よく行うことができることが期待される。ミリ波測定環境については装置の選定と導入を行い、動作確認までは完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
進化型計算手法によるアンテナ設計法は従来の設計法と比較しても細かなビーム制御ができることが分かり、次年度以降は本研究で目的としてるビームフォーミングに取り組む予定である。特に、ビームのチルト角、ビーム幅、サイドローブレベルの制御を行う。 次に導波管スロットアンテナを平面化した場合、曲率を有している場合について計算モデルを作成する。試作アンテナの測定結果と比較することにより、計算モデルの妥当性を検討し、提案している設計手法によるビームフォーミングについて検討する。 また、実際の応用を考慮して、誘電体材料で上述の各アンテナの開口面をカバーした場合についても検討を行い、特性の変化についても明らかにする予定である。 なお、計算時間の短縮を図るためにスパコンを活用する。また、ミリ波測定環境についても送受実験を行い、基礎的な特性を測定できるようにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ミリ波測定のためのコンポーネントの選定に時間がかかり、購入した物品の納期が年度内に間に合わなかったために当該研究費が生じた。よって、次年度使用額は主にミリ波コンポーネントに使用する。このほか、次年度以降はスパコンの計算時間が増えることを見込んでいるため、スパコン使用料として使用する。
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