2012 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク符号化の応用によるセキュアパケット・ルーティングに関する先駆的研究
Project/Area Number |
24560491
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
田中 秀磨 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30328570)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワークセキュリティ |
Research Abstract |
所属機関が変わったため、機材設置場所の確保や事務処理などで機材購入が大幅に遅れ、初年度に計画していた実験ネットワークの構築はできなかった。そのため、理論的研究のみ実施した。代数的手法によるパケット解析に関しては、ネットワーク構築を予定していたものの、前述の理由によりできなかったため、FPGAなど組み込みデバイス上での電気信号に置き換え試行した。その結果、暗号モジュールに対する相関電力解析攻撃に関する情報理論的解析へ発展することができ、2013年1月に開催された暗号と情報セキュリティシンポジウムにおいて「サイドチャネル攻撃に関する情報理論的解析」と題して指導学生が論文発表を行った。この考え方を量子通信におけるセキュリティ問題に応用し、国際学会であるICCSEA-2013に投稿し採択された。さらに関連する研究内容として、位置情報認証に関するプロトコルに代数的パケット構造の考え方を応用し、電子情報通信学会論文誌(和文D)に採択された。 また将来あるべきネットワーク構築に関する考察を、情報倫理的側面から哲学系の研究者と定期的に議論を行った。ここではプライバシー問題に取り組み、権利としての能動的プライバシーではなく、ユーザが置かれた環境としての受動的プライバシーに着目した。提案するネットワーク構造は、他者からの無制限なデータアクセスを許さない構造となることが予想され、既存のインターネットに見られる情報アクセスの柔軟性が失われることを欠点と考えていたが、受動的プライバシーの実現には適切である可能性が高いと考えられる。この点についても2013年1月に開催された暗号と情報セキュリティシンポジウムにおいて「個人情報と受動的プライバシーに関する一考察」と題して共同研究者が論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関が変わったため、事務処理の遅れ及び機材を設置する場所の確保、什器の整備などがほとんど進んでいない。現状では2013年度後半に、什器の整備が終わると予想している。また設置場所の確保が難しいため、本来はPCを用いた実験環境を予定していたが、シングルボードプロセッサを中心にしたものへ変更した。ところが本製品は大変人気の製品であり品薄状況が続き、納入できるのは早くても2013年10月頃ではないか?と伝えれている。本研究は実装を中心とした内容であるため、このような状況は致命的であるが、理論研究は特に応用面で進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験ネットワークの構築及びそれを利用した研究は2014年度からに変更する。それ以外の理論的研究及び情報倫理的アプローチによるネットワーク構築の研究は引き続き実施していく。平成24年度は基本的アイデアの応用発展が先行し、特にセキュリティ評価で大きな成果を出すことができたが、今年度は基本的アイデアそのものの理論研究を中心にする予定である。特にルーティングに関する研究とトレースバックの手法の開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験ネットワーク構築のための物品費が主であり、ノードとして使用するシングルボードプロセッサを計7台、サーバ用途のPCを計3台購入(計80万円程度)する。さらに既に採択済みの論文誌印刷代(10万円程度)、国際学会発費用など(参加費、滞在費など計20万円程度)の利用が決定している。また国内学会参加旅費、謝金などに20万円程度あてる予定である。
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