2013 Fiscal Year Research-status Report
変動の主観的リスクを考慮した多段決定問題の解法に関する研究
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24560499
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 純一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (60190914)
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Keywords | 最適化 / 不確定性 / リスク / 機械学習 / 再生可能エネルギー |
Research Abstract |
本年度は以下の研究成果を得た. 1.多段決定問題において,変動に起因するリスクを,変動の発生確率および変動によって生ずる損失の二つの側面に基づき主観的に評価する方法を開発し,この成果を学会発表した.これは前年度開発した発生確率によるリスク評価を拡張したものであり,主観の違いを適切かつ容易に反映できる方法であることが特徴である. 2.多段決定問題の有力な解法である強化学習について,問題の変化に対する追従性の高い方法を開発した.この成果の一部は英文論文誌に公表済みであり,残りは国際会議で発表する予定である.この特徴は,変化前の意思決定機構の活用と変化に対応するための意思決定機構の自動変更とをバランス良く行うことにより,変化に素早く対応できることである. 3.現実的な応用対象として,多段決定問題の一種である設備の診断・修繕計画問題を取り上げ,設備の劣化程度が不確実であることに起因するリスク評価を行い,これを考慮して設備の診断・修繕計画を立案する手法を開発し,その成果を学会発表した.これは,既存の方法に比較して設定すべきパラメータが少なく利用しやすい方法であることが特徴である. 4.もう一つの現実的な応用対象として電力系統,特に配電系統の運用問題を取り上げ,系統に接続された太陽光発電出力の変動をリスクとして捉え,これを考慮した最適な意思決定を行う方法,および,効率的に最適化を行う方法を開発し,その成果を英文論文誌と国内学会において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において平成25年度以降に実施予定であった二つの主要研究項目のうちの一つである,変動のリスク評価を複数の側面から行い,それらを統合して評価し意思決定を行う方法の開発を行った.加えて,意思決定・最適化の方法である強化学習について,変動・変化に適切に対処できる手法を考案した.さらに,現実的な応用例題として太陽光発電設備が多数接続された配電系統の運用問題を取り上げ,変動に対して頑健な運用を行う方法を提案した.
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3点について研究を推進する. 1.多目的問題としての取り扱い.平成25年度の研究では,変動の発生確率と変動によって生じる損失という変動の複数の側面を一つに統合して評価した.どのように統合を行うかは意思決定者の主観に依存する.そのため,意思決定者が自らが適切と思う統合を行うには,前もって統合を行わず,個々の評価側面と元来の目的関数を含めた多目的最適化問題として取扱い,得られた解を意思決定者に提示して統合判断を委ねることも有効である.これを行うことができる方法の開発を行う. 2.変動・変化に適切に対応できる強化学習手法の開発.変動・変化に適切かつ迅速に対応するためには,変動・変化に応じて複数の意思決定機構を適切に切り替えて使用することが有効である.このような意思決定機構の構築と切り替えを自動的に行う方法の開発を,平成25年度に引き続いて実施する. 3.再生可能エネルギーを含む電力系統運用問題への応用.平成25年度までに対象とした配電系統の運用問題等に加えて,多段決定問題としての特徴が大きく現れる蓄電装置を含む電力供給システムの運用問題への応用について研究を行う.
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