2014 Fiscal Year Research-status Report
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24560500
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
山本 芳弘 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (20419435)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 太陽光発電 / 固定価格買取制度 / 補助金 / 普及過程 / オピニオンリーダー / 系統連系 / 課金制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーを系統連系する場合に生じることがある逆潮流問題に対して、新たな課金制度を提案した。現在の送配電システムは、電気が大規模集中型電源から需要家側へと流れることを前提に構築されているが、分散型電源である再生可能エネルギーが系統連系されると需要家側から上流へと「逆向き」に流れることがある。これは、電力システムの安定性・安全性維持の観点からは望ましくない。そこで、分散型電源発電者に適切なインセンティブを与えることで、このような事態を回避することを考える。経済的成果を分配する方法のひとつであるAumann-Shapleyルールを応用するとともに、その求解法としてConvex Envelopment法を適用することで、より実際的なインセンティブ(課金方法)を提案した。この研究成果は、国際会議(5th International Conference on Sustainable Energy and Environment、バンコク)で報告した。 また、前年度までの研究成果2件のまとめを進めた。ひとつは、住宅用太陽光発電システムの普及においてオピニオンリーダーシップが果たす役割についての研究である。アンケート調査を通じてオピニオンリーダーを抽出し、彼らの支払意思額を調べることで、効果的な普及策についての知見を得た。この成果を国際論文誌Energy Policyに投稿した。もうひとつは、住宅用太陽光発電システムの導入支援策としての設置補助金と電力の買い取りの組み合わせに関する研究である。前年度までの研究では、離散変数を用いたミクロ経済モデルにより最適な組み合わせを分析していた。今年度は、新たに連続変数によるモデル化を行い、最適な組み合わせに関してより明確な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究成果を論文にまとめて投稿したり、新たな知見を追加して来年度以降に論文として投稿できるまでに成果を発展させることができた。 別の角度からの新たな課題に挑み、国際会議で報告するなど一定の成果を得ることができた。この成果は、来年度以降さらに発展させることが可能である。 一方で、シミュレーションについては検討中である。理論モデルでかなり明確な結果が得られているため、シミュレーションは必要か、もし必要ならばどの程度のものかなどの点について、現在検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究課題の最終年度となるため、残された課題を仕上げるとともに、得られた研究成果を論文にまとめて公表することが中心になる。住宅用太陽光発電システム普及策としての設置補助金と電力買い取りの最適な組み合わせ、ならびに逆潮流問題に対処するための課金制度の提案の2つの成果について、数値シミュレーション追加を含めて最終検討し、論文にして研究を完結させる。 また、これまでの課題推進の中で着想を得た、再生可能エネルギー利用に関する補足的な課題にも挑む計画である。これは、補助金や買い取りなどの金銭的支援策とは別に、再生可能エネルギー利用事業はどのような事業形態においてより効果的に実施され得るのかという問題である。金銭的と非金銭的の両面から制度設計を検討することで、より効果的な制度を提案することができると考えられる。
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Causes of Carryover |
論文投稿のための費用(修正段階での英文校閲費や別刷購入費等)として約6万円を予定していたが、今年度中に発生しなかったため、次年度使用額62,464円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
修正段階での英文校閲は終了し、次年度での論文受理も確定しているため、上記次年度使用額は次年度に予定通り使用される。その他の次年度使用計画は、当初計画通りに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)