2012 Fiscal Year Research-status Report
物理量の多点同時観測・制御のための多次元ΔΣ変調システム
Project/Area Number |
24560509
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田村 安孝 山形大学, 理工学研究科, 教授 (40171904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 十兵衛 山形大学, 理工学研究科, 助教 (30361273)
柳田 裕隆 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (80323179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 信号処理 / 多次元信号処理 / 多次元ΔΣ変調 / ハードウェア設計 |
Research Abstract |
平成24年度は,多次元ΔΣ変調の理論的整備と演算方式の検討を行った。 1.多次元ΔΣ変調の理論的整備:空間フィルタ挿入型の多次元ΔΣ変調について,時空間のサンプリング間隔,信号の周波数帯域・振幅が量子化の精度と安定性に与える影響をシミュレーションにより評価した(田村)。 2.演算ハードウェアの設計:演算のハードウェア化について検討した(多田,田村)。最終的な目標とするハードウェアは,64チャンネルまでの信号を処理するものとし,ハードウェア記述言語およびMATLAB/Simulinkにより動作の検証を行った。実装はFPGAを搭載した評価ボードを用い,64個のアクチュエータ素子に対して安定に動作する2次元ΔΣ変調を実装できることを確認した。 回路素子数と精度がSN比に与える影響をシミュレーションにより評価してアナログ空間フィルタを設計した。また,回路シミュレーションソフトウェアSPICE用のネットリストを生成するC言語による開発用ツールを作成した。 3.システムの評価:64チャンネルまでのアレイ用の設計データをFPGA評価ボードに実装し,ハードウェアで生成した多チャンネル信号データを用いて多次元ΔΣ変調器の動作検証を行った(柳田,多田)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間フィルタ挿入型の多次元ΔΣ変調に関しては,シミュレーションでは,不安定性は現れていない。ただし,ΔΣ変調の安定性の確認では,条件を拡げて,多くの回数のシミュレーションを安定に動作することが必要である。 演算ハードウエアに関しては,ハードウェア記述言語VHDLによる設計と実装を行い,2次元ΔΣ変調器が安定に動作することを確認できた。しかし,チャンネル数の変更,信号の周波数帯域の変更などに柔軟に対応する高度な信号処理を実装するためには,ハードウェア記述言語によるRTL設計では限界がある。このため,現在,高位合成が可能な開発環境について検討を始めている。 このシステムではアナログ的な処理を実行する空間フィルタが必要になる。このフィルタの設計用のツールの整備を進めることができた。しかし,アナログ空間フィルタの実装は未着手である。24年度の成果により可能になったSPICEシミュレーションを進め,回路作成の見通しを得たい。 システムの評価には,現有のスピーカアレイを用いた。目的としている「物理量の多点同時観測・制御」のためには,ランダムな配置を考慮した評価実験を行う必要があり,この実験システムの設計は25年度中に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.演算ハードウェアの実装:チャンネル数の異なる時間2次空間2次の変調システムを実装し,チャンネル数(最大128)と,動作周波数および回路規模の関係を調べる(多田,柳田,田村)。 2.規模の拡大の検討:上の結果を基に,空間チャンネル数(128以上)とフィルタ次数(3次以上)を拡大する場合の回路規模を,シミュレーションにより見積もる(田村,柳田)。また,ハードウェアの調整を行い,LSI構成の最適化に必要なデータを収集する(多田)。 3.実測による評価:数kHzまでの帯域の時空間信号を多次元ΔΣ変調により量子化して振動素子アレイを駆動する。発生した信号のSN比によりシステムの評価を行う(田村,柳田)。パイプライン処理の調整などによりハードウェアの詳細な最適化の可能性を判断する(多田)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度にハードウェアの作製・調整・評価用に購入を予定していたミクスドシグナルオシロスコープは,次年度以降の調達とした。これは,現有品を用いることが可能になったことと,目標とするハードウェアの性能を見極める必要が出たためである。 申請書を作成した当初は価格面などで使用できなかった,高位合成可能な演算ハードウェアの設計ツールが入手可能になってきたため,ミクスドシグナルオシロスコープは,これらの設計ツールとの連携も考慮して検討したい。
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Research Products
(1 results)