2013 Fiscal Year Research-status Report
並進不変ウェーブレットパケット変換の多重解像度的構成法と産業応用に関する研究
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24560515
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中野 和司 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90136531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新 誠一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20134463)
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Keywords | ウェーブレットパケット / シフト不変 / 周波数オーダー / ガボールウェーブレット / 地中レーダー / 埋蔵物探査 / 自動対外式除細動器 |
Research Abstract |
(1)理論的成果: 1レベルの離散ウェーブレット変換で並進不変とできることを出発点とし、2つのウェーブレット関数がヒルベルト変換対となるようスケーリング係数を選ぶと、多重解像度解析において、1レベル並進不変構造が、各レベルのひとつの分解においてのみ継承されていくことを理論的に示した。この事実から、各レベルで出力が指数的に増える通常のウェーブレットパケット変換では、すべての出力で並進不変性を獲得することは理論上不可能であることを明らかにした。 (2)応用的成果及び産業応用での成果: 並進不変なウェーブレット変換を用いると、再構成した信号は、並進移動に対して波形が崩れない。さらにウェーブレットは、バンドパス特性のほか、複数の消滅モーメントを備えており、多項式のトレンドを除去し、必要な周波数帯域の信号を抽出することができる。この特徴を利用して、地中レーダ信号の減衰評価に用いた。量子化雑音による S/N比 が劣化する時刻を推定する前処理として適用した結果、推定値の統計的性質が改善され、未知のデータに対する予測精度が向上した。 地中レーダーや自動対外式除細動器(AED)におけるリアルタイム信号処理技術を、企業とともに共同で開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
完全並進不変複素ウェーブレットパケット(WPT)の多重解像度的構成は、理論的に不可能なことを、世界で初めて示しめした成果は大きい。また、WPTにおける周波数オーダーの並べ替えアルゴリズムについても実用面で極めて大きな成果である。産業応用においては、(1)地中レーダーについて、2次元の完全並進不変離散ウェーブレット変換を応用し、従来より標定精度、計算時間の両面で優れた手法を考案した。(2)AEDについては、ガボールウェーブレット変換を用いた状態遷移を含む心電図波形の識別手法を考案した。これは 2013年度「電気学会 優秀論文発表賞(創立100周年記念基金学術振興助成規程による本部表彰)」を受けた。(
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Daubechies などの直交ウェーブレットを使って、擬似並進不変(Pseudo Translation Invariance)と称する、3~4桁での並進不変性の実現について検討する予定である。 産業応用については、地中レーダーおよびAEDについて、多くの手法を考案したが、これをアルゴリズムとして纏めツール化し実用に供していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額は17,493円であり、ほぼ研究計画通りに執行できている。 平成26年度の研究成果発表の際の旅費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)