2012 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバグレーティングを用いた多点型水素漏えい監視デバイスの開発
Project/Area Number |
24560516
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡崎 慎司 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (50293171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 忠均 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究員 (00401232)
丸 祐介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 助教 (20524101)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | センシングデバイス / 光ファイバガスセンサ / ファイバーブラッググレーティング / 水素漏えい検知 / 白金担持酸化タングステン |
Research Abstract |
一本の光ファイバケーブル上に多くのセンサ部を集積化した多点型水素センサ構築に向けて、本年度は白金触媒担持酸化タングステンを水素感応クラッドとして光ファイバグレーティング素子上に固定化した化学センサデバイスを試作評価した。水素感応膜として白金担持酸化タングステン膜を用いた。膜の作製方法として、タングステン酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換して得られたタングステン酸水溶液に触媒前駆体として塩化白金水溶液を均一に混合したものを出発溶液とするゾルゲル法を採用した。まず、白金担持酸化タングステン膜の白金:タングステンの比率及び膜厚を変化させたものをガラス基板上に形成させて評価用試料とし、水素曝露による水素感応膜の発熱挙動をサーモグラフィーにより評価を行った。その結果、反応熱検出方式のFBGセンサに適用する場合、水素感応膜の膜厚500nm、白金触媒の含有率10atm%以上にすることで高感度の水素検知が可能となることを見出した。次に光通信で使用される一般的なFBG及び長周期FBG素子を入手し、被覆除去・エッチング等の適当な前処理を施した後に、水素感応膜を形成した石英基板にFBG素子を固定化したセンサを作製した。温湿度環境を制御可能な専用ガスチャンバにて、デバイスの水素応答特性を確認した結果、1/10LELにおいて十分な感度が得られることを確認したが、応答は比較的緩慢であることが分かった。そこで、ゾルゲル法を用いてディップコートにより光ファイバグレーティング素子周囲に水素感応膜を直接製膜・固定化したセンサデバイスを作製した。膜の焼成プロセスでは素子は500℃に曝露されるが素子自体の劣化はほとんどなく、薄膜の固定化状態も良好であることをSEM等で確認した。さらに水素応答性を確認した結果、応答速度が十分向上していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光ファイバグレーティングセンサを用いた準分布型の多点センサ実現に向けて、白金触媒担持酸化タングステンの最適化が順調に進展しており、光通信で使用される一般的なFBG光ファイバグレーティング素子上に水素感応クラッドとして当該薄膜を固定化した化学センサデバイスを作製することに成功するとともに外部発表なども順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
白色光源とスペクトラムアナライザを用い、水素曝露前後での特性波長のシフトを評価し、センサの応答特性評価(感度・応答速度・繰り返し再現性・温度ドリフト)を詳細に行う。さらに、妨害成分として実環境下で想定される共存ガス(主に炭化水素類)に対する影響を調べるとともに触媒被毒成分となりうる一酸化炭素やヘキサメチルジシロキサン及びメチルメルカプタンによってもたらされる被毒の影響を調べる。 被毒成分の影響が深刻な場合は、化学的保護膜としてシリコンあるいはテフロン被覆を塗布法によって行い、その効果及び応答速度に及ぼす影響を明確化する。なお、さらなる改善の必要が生じた場合は、中間層として化学蒸着によるシリカ被覆を行い、分子ふるい効果による長期安定性向上を試みる。次に機械的な強度を向上させて実適用性の高いセンサ構造とするため、発泡ポリウレタンなどによりセンサデバイスと保護材とが一体化した構造のデバイスを作製し、センサ応答特性を評価する。 デバイス試作過程において得られた知見・ノウハウに基づき、ディップコート法によって10個のFBG特性波長の異なる素子に水素感応クラッドを固定化し、これを直列に配したセンサケーブルを試作する。センサケーブルの波長感度特性を取得するとともに、多点センサシステムの評価用試験チャンバーを作製し、各素子の水素応答特性を動作確認として調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)