2013 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバグレーティングを用いた多点型水素漏えい監視デバイスの開発
Project/Area Number |
24560516
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡崎 慎司 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (50293171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 忠均 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, つくば宇宙センター研究開発本部, 研究員 (00401232)
丸 祐介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20524101)
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Keywords | センシングデバイス / 光ファイバガスセンサ / ファイバーブラッググレーティング / 水素漏えい検知 / 白金担持酸化タングステン |
Research Abstract |
本年度は光ファイバグレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating)型水素センサを具現化するため、水素感応膜の性能特性評価とデバイス化について詳細な検討を行った。水素感応膜材料として白金触媒を担持した様々な酸化物触媒(酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化ケイ素、アルミナ)をマトリクスとして用いたところ、乾燥雰囲気中では酸化タングステン以外にも酸化鉄、二酸化ケイ素で高い活性が得られることが明らかとなった。一方、湿潤雰囲気下では多くの酸化物が活性を失ったが、二酸化ケイ素をマトリクスとして用いた場合、水素感応膜は比較的良好かつ安定な水素検出特性を維持することが分かった。そこで白金触媒担持二酸化ケイ素膜を水素感応膜として固定化したセンサ構造を2種類(石英ガラス基板に水素感応膜を固定化し、これに接触するようFBGを接着樹脂により固定化した構造と被覆を除去したFBG部の光ファイバ外周部に直接感応膜を固定化した構造)作製し、センサ特性を調べた。白色光源とスペクトラムアナライザを用い、水素曝露前後での特性波長のシフトを評価した結果、2種類のセンサデバイスともに水素の燃焼熱によるデバイス温度上昇のためブラッグ波長の大きなシフトが観察された。また、繰り返し再現性も良好であった。さらに、炭化水素類をはじめとする妨害成分の影響も極めて小さく高い水素選択性を有することが分かった。次に、10個のFBG特性波長の異なる素子に水素感応クラッドを固定化し、これを直列に配したセンサケーブルを試作し、センサケーブルの波長感度特性を取得した。以上のように、一本の光ファイバケーブル上に多くのセンサ部を集積化した多点型水素センサの開発に向けてデバイス構造の最適化に資する多くの有用な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とおり、光ファイバグレーティング型水素センサデバイス構造の最適化に資する多くの有用な知見が得られ、次年度の動作実証試験に向けた足場を固めることができたと自己点検評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度においては 共同研究機関において開発された多点型ひずみセンサシステムを応用することで(部分的な計測条件や計測プログラムの改造)、多点型水素センサシステムの構築が効率的に行えるものと考えられる。また、実環境におけるセンサシステムの検知性能を実証するため、フィールド試験を行うことでより効果的なデータが取得できるものと期待している。具体的には、液体水素貯蔵タンクからの水素漏えいを模擬できる試験評価装置の作製に続き、液体窒素を用いたブランク試験を行い、センサの温度特性や評価装置に固定した素子が低温状態で受ける熱応力で生じるバックグラウンド出力を評価する。次に、液体水素漏えいに対する水素検知性能を評価するとともに、漏えい部の温度あるいは周囲環境の温湿度影響を調べる。
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Research Products
(3 results)