2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模悪条件線形方程式に対する数値解法の開発とその応用
Project/Area Number |
24560518
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
細田 陽介 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80264951)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 武光 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (70023314)
|
Keywords | 悪条件問題 / 大規模問題 / 反復解法 / 正則化法 |
Research Abstract |
一般に、悪条件方程式に対しては正則化法の適用が有効である。大規模問題に対する反復解法に正則化法を適用する場合、反復を途中で打ち切ることにより正則化法を実現する方法と、求めるべき解に制約条件を課し、その制約条件付き最小化問題に反復解法を適用する方法の二種類がある。前者の方法は概して高速であるが、解に対する事前情報を制約条件に課し難いため、高品質な解が求まり難いという欠点がある。本年度は、解に対して積極的に制約条件を課すことにより高品質な解を求めることができるかどうかを主に検証した。 解に制約条件を課す正則化法では、その制約条件により、線形な正則化法と、非線形な正則化法に分けることができる。線形な正則化法では、解になにかの行列を掛け、そのベクトルの二乗ノルムが最小となるように定式化を行う。この場合、その制約条件付き最小化問題は、線形な最小自乗問題への変換できる。本研究では、その最小自乗問題をCGLS法を用いて解いた。この数値計算法を電子顕微鏡CT像再構成問題に適用し、その効果を検証した。電子顕微鏡CT像再構成問題では、問題の悪条件性に起因する観測誤差による画像の劣化とともに、装置の物理的な制約に依存したデータ欠損に伴う画像の劣化が大きな問題となる。線形な正則化法では、正則化行列を適切に選択することにより(例えば、ラプラシアン行列など)、観測誤差の影響は抑えることができるが、データ欠損に起因する画像の劣化を回復することは困難であることがわかった。しかし、線形条件と非線形条件を組み合わせたり、リスタート手法(解に対するある種のプロジェクションを、ある反復ごとに行う手法)を用いることにより、画像の劣化を防ぐことができる可能性があることも数値実験により検証できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーションに必要な環境も構築でき、さまざまな数値実験も順調に行われており、おおむね順調に研究が行われていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、これまでに行ってきた数値実験と解法の理論解析を取りまとめ、国際会議などで積極的に情報発信する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度での実質的な研究活動は終了し、次年度で計画している研究発表活動ならびに、情報収集のための予算として、消費税増加分に備えるために、敢えて次年度に持ち越したため。 基本的には、研究計画通りであるが、計画にはなかった消費税の増加分に繰越金を割り当てる予定である。
|