2012 Fiscal Year Research-status Report
連続法を用いた新しい強度変調放射線治療計画法の開発
Project/Area Number |
24560522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉永 哲哉 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40220694)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強度変調放射線治療 / 最適化問題 / 微分方程式 / 非線形問題 |
Research Abstract |
強度変調放射線治療 (IMRT) 計画の問題は,照射ビーム係数に関する評価関数の最小化問題に帰着される.本研究代表者は,ビーム係数の制約としての正値性と極小解への収束が理論的に保証され,アナログ電子回路によるハードウェア実装が可能となる独自のアイデアに基づく IMRT 計画法を考案した.従来の IMRT 勾配系では必要となる評価関数のヘシアンとその逆行列が不要であることも大きな特長である.提案法 (連続法と呼ぶ) は,非線形常微分方程式の解を用いて極小値を求める新しい方法であり,理論・数値解析,および実用化に向けた研究を行うことが本研究の目的である. 平成24年度は,提案法の微分方程式系の解析を理論および数値実験の両面から並行して実施した.まず,理論解析を通し,IMRT 勾配系の微分方程式の性質を調べた.連続法を拡張させ,照射ビームの上界に対応した制約条件を追加させたり,線量の上限・下限値を複数指定できるよう評価関数を柔軟に設定し,系にみられる平衡点の安定性や収束性を理論的に検討した.実際,拡張連続系に対応したリアプノフ関数を定義し,大域的な安定性の証明に成功した.次に,数値解析については,低次元系から実用的な高次元系まで,任意の初期値から理想的な IMRT 計画結果へ解が収束するかどうかをシミュレーションにより検討した.これは,標的体積とリスク臓器の位置,線量の上限・下限値の設定によっては逆問題が非適切 (ill-posedn ess) となり,理論では解析が困難となるためである.IMRT 計画問題が適切 (well-posedness) および非適切となる臨床例を構成し,数値実験を通して,理論の妥当性と本手法の有用性を例証した. 本提案法を特許として出願するとともに,成果を国際会議で発表し,内容を発展させた結果を国際ジャーナルへ投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論及び数値解析につき,計画通りの成果が得られている.具体的には,拡張した微分方程式系に対応したリアプノフ関数を定義し,系にみられる解の大域的な安定性を証明することに成功した.強度変調放射線治療計画問題が適切および非適切となる臨床例を構成し,数値実験を通して,理論の妥当性と本手法の有用性を例証することができた.本提案法を特許として出願するとともに,成果をまとめた論文は査読のある国際会議に採択され,発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,低次元系のアナログ電子回路を試作する.試作により.提案手法の実用化可能性を検証することができる.すなわち,演算精度,平衡点の固有値設定による収束速度の調整などを試作器を用いて検討する.試作器の出力が数値計算結果と比較して正常に動作することを検証する.製作には,CT 連続法の研究開発で培ったノウハウを活用できる.ただし,IMRT 最適化連続法では線量の上限・下限値に係る写像が微分方程式系に含まれる違いがあり,アナログ-ディジタル混在回路を構成する必要があることが異なる. 次に,連続法の離散化による反復法の理論研究を行う.特別なハードウェアを実装しなくても連続法の良質な性能を保ったままソフトウェアで実行が可能となる方法も有用である.研究の達成により,既存の IMRT 設備においてもソフトウェアの導入だけで高品質・高精度の IMRT 計画結果を得ることが可能となる.理論的および数値的な解析を並行して実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度から開始する実験に必要な数値演算解析装置を平成24年度に発注したが納品が4月3日となり経費を翌年度に持ち越すこととなった.平成25年度の研究に必要な設備であるので計画通りの研究遂行になんら支障は無い.また,平成25年3月に国際会議に出席し,当初の研究計画通り出張旅費と会議参加費を使用したが,経理の都合上,実際の支出が4月になったものである.
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Research Products
(15 results)