2014 Fiscal Year Annual Research Report
騒音環境下での音声認識を目指した体内伝導音計測に基づく音声信号抽出法
Project/Area Number |
24560529
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
生田 顯 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (30145164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折本 寿子(益池寿子) 県立広島大学, 経営情報学部, 講師 (80533207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音声信号 / 雑音除去 / 体内伝導音 / 気導音 / 実環境 / 音声認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、周囲騒音の影響を受けにくい体内伝導音(声帯で発生した音声が骨など体内を伝搬し、喉など身体表面で測定される振動)の計測に基づき音声信号を抽出するための信号処理法について検討を行っている。 具体的には、気導音をプライマリー信号、体内伝導音を参照信号とし、最小二乗規範(LMS)による線形適応ノイズキャンセラーを昨年度に提案した。この手法では、騒音をかなり抑制し音質を大きく改善するが、音声信号の高周波成分の復元には不十分であることが実験により確認された。その理由は、体内伝導音から気導音までの物理的なシステム特性には非線形性が含まれていることに起因する。したがって、次に、非線形適応フィルタとして学習が容易で性能も良好とされるFunctional Link Artificial Neural Network(FLANN)を用いた、騒音除去のための新たな信号処理法を提案した。しかし、Neural Networkのサイズや重みの初期値設定など、試行錯誤を要し処理も複雑である。しかも、性能も十分とはいえないなどの問題点が存在していた。 以上の観点から、本年度は、非線形適応フィルタとして広く用いられているVolterra filterを用いた方法を提案した。また、FLANNとVolterra filterの両者を併用したハイブッリド・システムを提案した。さらに、無響室で測定した騒音環境下での気導音と体内伝導音に提案した手法を適用することにより、提案法の有効性を実験的にも確認した。FLANNはべき乗の非線形近似に適しているのに対し、Volterra filterは変数間のクロス項に対応した非線形関数の近似に適していることから、両者の併用は互いの長所・短所を補完し合い、単独使用より優れた性能を示すことが実験的にも確認できた。
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