2013 Fiscal Year Research-status Report
昆虫の網膜電位特性に学ぶLED光による害虫(ガ・ゴキブリ)防除光源装置の開発
Project/Area Number |
24560531
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平間 淳司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40181185)
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Keywords | ERG信号 / LED光源 / 害虫防除 / ヤガ類 / ゴキブリ類 |
Research Abstract |
本研究では化学農薬に替わる害虫防除方法を模索しており、超高輝度型LEDの諸特性を積極的に利用した物理的な新しいタイプの害虫防除光源装置の開発を実施している。開発にあたり、農作物に被害を多くもたらす特定害虫種(チャバネアオカメムシ,オオタバコガ,ハスモンヨトウ)や家庭内で特に嫌がられているゴキブリ(これまでの成果を踏まえ、両害虫種に対して、光照射時に複眼の網膜に誘発する網膜電位応答(ERG信号)特性を明らかにし、そのデータと行動観察とを関連付けることにより、効果的な防除や駆除の物理的方法の確立を行う。この年度では前年度の研究成果を踏まえ、以下の事項を実施した。 (1)ERG信号の継続計測および新種の害虫対応 前年度に引き続き、ERG信号の継続計測を実施し可能な限り多くのデータを収集して、更なる信頼性の高い基礎資料収集を実施した。具体的には、被害をもたらすことが予想される新種のヤガ類の害虫に切り替え、ERG信号計測を実施した。これにより、LED光源の光質の条件決定のための基礎資料を得ることができた。 (2)ゴキブリの防除あるいは駆除光源装置開発の取組み 前年度までERG信号の視覚特性をを踏まえ、この年度では主として、簡易行動観察装置を試作して、各種光刺激に対するクロゴキブリの誘引・忌避行動の行動観察を予備的に実施した。近紫外光と可視光との光質の違いにより、ゴキブリの行動様式の差別化の可能性に見通しを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、化学農薬に替わる害虫防除方法を模索しており、超高輝度型LEDの諸特性を積極的に利用した物理的な新しいタイプの害虫防除光源装置の開発を考えている。開発にあたり、近年特に農作物に被害を多くもたらす特定害虫種(チャバネアオカメムシ,オオタバコガ,ハスモンヨトウ)や家庭内で特に嫌がられているゴキブリ(これまでの成果を踏まえ、光照射時に複眼の網膜に誘発する網膜電位応答(ERG信号)特性を明らかにする。そして、そのデータと行動観察とを関連付けることにより、効果的な防除や駆除の物理的方法の確立を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)今後更に高S/N比で質の高いERG信号計測を目指しつつ、より多くの新種の害虫種を含め基礎資料を収集し、大量のデータベース構築を目指す。 (2)慣れ防止および低消費電力化を目指したLED光源制御装置の再設計 ゆらぎ光やパルス光のLED光源パネルの試作運用は予備的に実施済みであるが、その光源パネルに対する防除効果の結論は十分ではない。得られた各種のゆらぎ特性をLED光源パネルの制御装置に反映させる。LEDの照射方法は「連続光」「パルス光」「ゆらぎ光」をターゲットとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画通り、ほぼ進行したが旅費の消費が少し少なかった。その余剰予算を次年度に組み込み、最終年度では下記の使用計画に沿って予算を有効利用する。 (1)害虫サンプルの購入:ガ類(オオタバコガやハスモンヨトウ)やゴキブリ類(チャバネゴキブリ)の個体の購入 (2)新型のLED光源パネルの試作:実用化を前提とした「ERG信号に連動し、慣れ防止効果」を狙った新型LED光源装置の設計・試作し、一般の農地で行動観察を実施して、そのLED光源の防除効果の検証を実施する。また、ゴキブリ類の忌避・誘引行動の観察用のLED光源も新規に製作する。また、短時間で効果的に結果を出せるようなゴキブリの行動観察用チャンバの試作する。実験室内で小規模のアクリル製の行動観察用のチャンバを設計・製作する。
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Research Products
(2 results)