2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 武吉 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (70455434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 恒男 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究科長 (90356866)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キャビテーション / 標準化 / 強力水中超音波 / キャビテーションセンサ / ソノケミストリ / 超音波洗浄 |
Research Abstract |
本研究は、強力水中超音波に付随して発生するキャビテーション発生量の定量計測技術の実用化を目的としている。我々は、キャビテーション由来の信号であるbroadband noiseの高周波成分を周波数軸上で積分した値であるbroadband integrated voltage(BIV)を用いて、キャビテーションの発生量を評価する方法を検討している。Broadband noiseの受信には、円筒形のキャビテーションセンサを用いる。24年度は以下の検討を行った。 1、高空間分解能を目指したキャビテーションセンサの開発 → 従来型キャビテーションセンサは、水槽内のキャビテーション発生量の空間分布を正確に測定できなかった。そこで、高空間分解能を目指した新型キャビテーションセンサを試作した。新型センサ内の超音波信号の受波部の材料であるポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)のサイズを、従来の30 mmから2 mm以下まで小さくした。 2、高空間分解能キャビテーションセンサの空間分解能の評価 → 新型キャビテーションセンサの空間分解能の評価を行った。測定は、パルサーレシーバによるパルスエコー法を用いた。円筒形センサ内側中心に、直径5 mmの2つの微小な球体を、2 mm間隔で置き、その後センサ内側のPVDFから超音波の送受信を行い、2つの球体の識別により空間分解能を評価した。結果として、新型キャビテーションセンサは、従来型より、空間分解能が向上していることがわかった。 3、高空間分解能キャビテーションセンサを用いた超音波伝搬方向のBIVの空間分布測定 → 高空間分解能キャビテーションセンサを用いて、超音波照射システムの超音波伝搬方向のキャビテーション発生量の空間分布を測定した。結果として、高空間分解能キャビテーションセンサは、キャビテーション発生分布を正確に測定できる可能性があることを明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の達成度は、1.高空間分解能型キャビテーションセンサの試作、2.キャビテーションセンサの空間分解能の測定法の確立、3.高空間分解能型キャビテーションセンサによるキャビテーション発生分布の正確な測定の結果により、おおむね順調に進展していると考えられる。本研究を通して得られた成果は、国際会議であるIEEE International Ultrasonics Symposiumなどで発表し、ソノケミストリ分野や医用治療分野の研究者から高い評価を得た。また、本研究は、BIVを用いた超音波洗浄機の洗浄能力の評価方法の確立を目的としているため、超音波洗浄機メーカからも注目された。超音波洗浄の分野は、キャビテーションが積極的に応用されている分野の一つである。 来年度以降は、高空間分解能型キャビテーションセンサを用いて測定したBIVと、半導体等の産業部品を洗浄している超音波洗浄機の洗浄能力の関係を評価する。そのための準備として、これまでに、超音波洗浄機を市販しているメーカと、超音波照射システムの仕様や洗浄機の洗浄能力の評価方法等の議論を行い、協力関係を築いている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高空間分解能型キャビテーションセンサにより測定したBIVと超音波洗浄機の洗浄能力の関係を明確にする。超音波洗浄機の洗浄能力は、客観的かつ定量的な指標は無く、各超音波洗浄機メーカの独自の評価方法で行われている。そこで、BIVとメーカ独自に行われている洗浄能力の評価法との関係を明確にし、BIVによる計測方法が洗浄能力の標準的な指標になる事を目指す。本実験では、キャビテーションが積極的に応用されている洗浄分野を対象に実験を行うが、得られた成果は、医用やその他の分野にも応用可能であると考えられる。 上記の成果を得るために、25年度は、駆動周波数や音響出力(超音波パワー、音圧)を制御できる超音波照射システムを構築する。構築した超音波照射システムを、超音波パワーや音圧などの基礎特性を用いて評価する。また、従来のキャビテーションの評価方法であるソノケミカルルミネッセンスの発光強度やヨウ化カリウム法などを用いて、超音波照射システムの水槽内のキャビテーション発生分布を評価する。さらに、洗浄機メーカの協力を得て、洗浄能力の評価方法についても検討する予定である。洗浄能力の評価方法としては、ガラス板に一定量の油性塗料を塗布し、その後、超音波照射による塗料の重量変化により評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、高空間分解能キャビテーションセンサの製作、超音波を照射するための水槽の製作、ソノケミカルルミネッセンスやヨウ化カリウム等の薬品、超音波照射システムの構築及び基礎特性を測定するために必要なセンサの製作、超音波洗浄機の洗浄能力の評価方法、蒸留水の脱気度の測定のための溶存酸素濃度の購入等に使用する予定である。また、研究を通じて得た成果を、論文や国際会議、国内学会等で発表するために、論文発表の投稿費や旅費を計上する。
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Research Products
(5 results)