2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560537
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 武吉 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70455434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 恒男 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 部門付 (90356866)
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Keywords | キャビテーション / 標準化 / 強力水中超音波 / キャビテーションセンサ / ソノケミカルルミネッセンス / 超音波洗浄 |
Research Abstract |
本研究は、超音波洗浄の分野を対象として、高出力水中超音波に付随して発生するキャビテーション発生量の定量計測技術の開発を目的としている。我々は、キャビテーション由来の信号であるbroadband integrated noiseの高周波成分を積分した値であるbroadband integrated voltage (BIV)を用いて、キャビテーション発生量を定量的に計測する技術を開発している。25年度は以下の検討を行った。 1.キャビテーションセンサの高度化 → BIVを測定するために、円筒形キャビテーションセンサを使用している。24年度に続いて25年度も、キャビテーションセンサのさらなる小型化を検討した。キャビテーションセンサのサイズは、高さ約20 mmであったが、音場への影響を可能な限り小さくするために、高さ10 mmまで小さくした。その結果、試作した新型キャビテーションセンサにより、水槽内のキャビテーション発生分布をより正確に測定できた。 2.一般的なキャビテーション評価方法の問題点 → これまでに用いられてきたキャビテーション評価方法の問題点を明確にした。従来のキャビテーションの評価方法は、ハイドロホンなどにより測定される音圧が用いられている。そこで、超音波洗浄機の水槽内において、ハイドロホンにより測定した音圧とキャビテーションの発生分布を視覚的に確認できるソノケミカルルミネッセンス(SCL)を比較した結果、高音圧部分とSCLの高発光部分は必ずしも一致しないことを確認した。原因は、水槽内に発生する音響流によりキャビテーションバブルが移動していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の達成度は、1.キャビテーションセンサの高度化、2.一般的なキャビテーション評価方法の問題点の成果により、おおむね順調に進展していると考えられる。また、25年度においては、超音波洗浄機を市販しているメーカからの協力により、現在、各メーカ独自に行われている超音波洗浄機の洗浄能力の評価方法についての情報も得られた。25年度に得られた成果は、IEEE-International Ultrasonics Symposium(IUS)などの国際会議で発表を行い、高い評価を得た。高出力水中超音波に付随して発生するキャビテーションは、医用治療分野やソノケミストリー分野でも応用されており、本研究は注目されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高分解能化したキャビテーションセンサにより測定したBIVと超音波洗浄機の水槽内の洗浄能力の関係を明確にし、キャビテーション発生量の定量計測としてのBIVの可能性を示す。 超音波洗浄機の洗浄能力の評価方法は、各メーカ独自の方法を採用しており、統一的な方法が無いために、超音波洗浄機の発展を阻害している。今後、メーカ独自で行われている洗浄能力の評価方法や従来のキャビテーション評価方法とBIVの関係を比較し、BIVがより洗浄能力を正確に評価できることを検討する。BIVが洗浄能力の統一的な指標になることを目指す。 上記の成果を得るために、我々が確立したカロリメトリ法による超音波パワー測定方法を用いて、超音波洗浄機の水槽内の音響的な特性評価を行う。また水槽内の特性評価には、ヨウ化カリウム法などのキャビテーションの評価方法も用いる。さらに、メーカで行われている洗浄能力の評価方法の一つである油性塗料の超音波照射前後の重量変化で洗浄能力を評価する方法とBIVを比較する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般的なキャビテーションの評価方法は音圧である。音圧は、ハイドロホンというセンサーを使用して測定する。研究室所有のハイドロホンでは、高出力領域では破壊されてしまうため、高出力領域対応のハイドロホンが必要であったが、今年度は超音波出力を抑えて、低出力領域で研究室所有のハイドロホンを用いて音圧を測定した。そのために、次年度使用額が生じた。 翌年度の使用計画は、高出力領域対応のハイドロホンを購入する。また、キャビテーションセンサを試作するためのポリフッ化ビニリデン等の消耗品の購入や、超音波洗浄機の水槽の改造を行う予定である。さらに、得られた成果の発表や最先端の研究成果の情報を得るために、学会や研究会への旅費に関しても計上する。
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Research Products
(4 results)