2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
辻 俊明 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60434031)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 触覚 / ハプティクス / 触覚インタフェース / 触覚信号処理 |
Research Abstract |
代表者らは6軸力覚センサとカバーのみで構成される簡易な方式で全身触覚を実現する技術「ハプティックアーマ」を本研究課題開始時までに開発している。本技術は触覚に基づくインタフェースを実用化する上で有力な候補であるが、その形状および素材が限定されていることが大きな制約となっていた。そこで、3年間の研究実施期間の1年目である2012年度には、触覚に基づく認識インタフェースに本技術を実装するための基盤となる信号分離技術を開発した。具体的には、(1)ポリウレタンなどの柔軟性を有する素材でカバーを構成した場合の検証と補正技術の開発、(2)非凸包形状への本技術の拡張、を実施し本触覚技術の汎用性を高めた。またこれらの研究を遂行するための試作機を構築し、実機的検証を行った。本成果により多種多様な形状と素材のインタフェースが開発可能になった。 まず(1)の項目について述べる。カバーを構成する柔軟素材として50mm厚のポリウレタンを採用し、ひずみに起因する外力作用点の位置誤差を補正する処理方法を開発した。補正処理により、ひずみに起因する誤差の8割以上が無効化されることが確認された。 次に(2)の項目について述べる。非凸包形状で本技術を実装すると外力作用点の候補が複数あるために一意に位置を決定できないという問題があった。これを解決するため時系列で変化する外力ベクトルの情報を利用する独自の手法を開発した。そして8割弱の確率で正しく位置が同定できることが実験的に確認された。 以上の成果は国際会議 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2012)において発表されたほか、国内学会2件に発表され、広く公知のものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
力覚センサ1つで外力作用点の中心を求める手法は比較的古くからある手法だが、その形状に制約が大きいために極めて限られた用途にしか使われていなかった。代表者らの提案する「ハプティックアーマ」は傾斜の非連続な形状でも外力作用点が十分正確に求められることを示した世界で初めての技術であるが、形状は凸包に限られるのが課題であった。日常で扱うものの多くは非凸包の形状をしていることからも、この課題を解決しない限りは大きな制約を受けることが容易に推察される。本研究課題では時系列で変化する外力ベクトルの情報を利用する独自の手法により、非凸包の形状にこれらの技術を応用し、本技術の適用範囲を大幅に拡大している。また、剛性の高い素材に限らず、柔軟な素材にも対応し、高い精度を得られることが示されている。これらの技術は克服すべきハードルが高いものであるが、信号処理技術の開発、試作機の構築ともに当初の予定通りこれを実現しており、概ね順調に研究が達成されていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果により、信号の分離技術、実験機等、今後の基盤となる技術、施設は整いつつある。本基盤に基づき、本年度は触覚信号に基づく環境認識技術を開発する。環境からの外力として判別された信号の応答から環境情報の変化を同定するアルゴリズムを構築し、ロボットの置かれている状況と接している人間の意図を判断する技術を開発する。人間の意図を判断する信号処理技術としては、音声処理にしばしば応用されるDPマッチング法を実装するが、候補となるその他の手法も検討する。そして本技術を実機に実装し、評価を行う。本技術はロボットのみならず家電や机のインタフェースとして応用される可能性があるため、これを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)