2013 Fiscal Year Research-status Report
動的環境モニタリングのためのモバイルセンサネットワークの協調制御に関する研究
Project/Area Number |
24560540
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 政之 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90181370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 健志 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (10452012)
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Keywords | 制御理論 / 協調制御 / モバイルセンサネットワーク / 意思決定 / ゲーム理論的学習 |
Research Abstract |
本申請課題は,動的環境のモニタリングを実現する協調制御理論を確立し,実験システムを構築した上でその有効性を検証することを目的とするものである.特に,以下の二つの課題の解決を目指す.一つは人間とモバイルセンサから構成されるグループを想定し,人間の指令に従いながら理想的なネットワーク状態を達成する協調制御法の提案である.もう一つは,環境情報の学習や適応を含む上位の意思決定機能をセンサ群が自律的に達成する協調制御法の提案である.H24年度は,前者の課題に関しては新規の協調制御構造を提案し,理論的な証明に成功した.後者の課題に関しては,新規のゲーム理論的学習アルゴリズムの提案とその理論解析に成功した.また,上記の理論結果を検証する実験システムの構築に成功した. 2年目にあたるH25年度の研究成果は以下の通りである.まず,前者の課題については人間を陽に考慮した制御系を考え,人間にフィードバックすべき情報を設計し,システムの安定性を保証する上で人間が満たすべき条件を理論的に明らかにした.さらに,人間を含めた実験システムを構築し,実際に人間がその条件を満たすか否かを検証し,その達成を補助する支援機構の設計に成功した.また,これらの成果を国際会議論文としてまとめ,投稿した.なお,前年度までの成果のうち,唯一論文化していなかった協調制御に係る部分については論文誌への投稿準備が整った.後者の課題に関しては,前年度に提案したアルゴリズムをさらに発展させ,これを環境モニタリングのシナリオに適用した.本成果は当該分野における最重要国際会議と目されているIEEE Conference on Decision and Controlに採択され,国際的に高い評価を受けた.また,これまでの成果をまとめた論文を現在国際論文誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は本年度を終えた時点で,実験システムの完成・検証実験の実施およびゲーム理論的学習アルゴリズムに関する理論証明に取り組む予定であったが,これらの課題は昨年度までに完成させることができている.さらに,本課題を進める中で,人間を含む制御系に関して,申請段階では想定していなかった新規のアイデアを着想することに成功した.これは,本プロジェクトが申請時の目的を超え始めていることを意味する.よって,本研究は当初の計画以上に進展していると結論付けることができる.また,当初は最終年度にあたる本年度において,これまでの成果をまとめて国内外への論文投稿を行う予定であったが,既に昨年度までの段階で複数編の論文投稿や採録を達成することができたことも本課題の順調な進展を裏付けるものである.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,申請当初に本年度に予定していた課題の多くは計画以上の進展により,既に解決済みである.そこで,本年度は昨年度中に着想した,人間を含めた制御系に関する新たなアイデアをより発展させることを目指すこととする.まず,昨年度は人間からの指令が瞬時に一部のセンサに伝えられるという,やや現実性に欠ける仮定の下での理論展開を行ったが,本年度は通信遅れを陽に考慮する形で理論を発展させる.また,センサ群と環境との間のインタラクションが安定性に及ぼす影響の評価も興味深い課題である.過去の単一ロボットの制御に関する研究では,これらの課題は深く研究がなされており,そこでの知見を援用することで解を導くことができると考えられる.また,申請者は,長年にわたり3次元運動の協調制御に関して研究してきたが,上記の課題は準備段階として2次元空間上の協調に限定している.そこで,これまでの申請者の知見を活かして,3次元上の協調への発展を考える.さらに,以上の全ての発展はセンサ群の制御を司る人間の特性に影響を与える可能性が十分考えられる.したがって,上記の理論的な取り組みに加えて,人間が上記の状況下においても安定性条件を満たすか否かを,新たに実験に基づいて検証する必要がある. 最後に,これまでの成果と以上の結果をまとめて国内外に発信することも最終年度にあたる本年度に課された重要な課題である.
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