2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模ネットワーク動的システムのロバスト分散協調制御
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24560544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鷹羽 浄嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (30236343)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大規模ネットワーク動的システム / 分散協調制御 / ネットワーク / ロバスト性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,大規模ネットワーク動的システムにおいて,各エージェントのモデル変動およびネットワーク構造の変動の下で,システムのロバスト性を解析することにより,ネットワーク構造とロバスト性・制御性能との関係を解明し,ロバスト分散協調制御系を構築するための理論的基盤を構築することにある. 今年度の成果の概要は,以下の通りである. 1.エージェント間の通信が非対称である(双方向でない)ようなネットワークは有向グラフを用いてモデル化できる.有向グラフ上の非線形ネットワーク動的システムにおいて,エージェントのノミナル動特性が受動的であるという仮定のもとで,エージェント動特性の加法的変動に対してロバストな同期制御を達成するための条件を導出した. 2.線形時不変なエージェントからなるネットワーク動的システムにおいて,エージェントの動特性の非均一性を加法的モデル変動として表現し,各エージェントの状態をロバストに同期させる問題を検討した.オブザーバ型分散制御則によりロバスト同期が達成されるための必要十分条件を,グラフ・ラプラシアンの固有値とエージェント動特性に関連するリカッチ方程式の解を用いて導出し,同期のために許容可能なモデル変動の大きさの限界を評価した. 3.受動的とは限らない非線形エージェントからなるネットワーク動的システムにおいては,ネットワークのグラフ・ラプラシアンの固有値を適切な領域内に配置することによって各エージェントが同期することが知られている.制御理論における領域極配置の手法を援用しすることにより,同期を達成するようなエージェント間結合重み(分散フィードバックゲイン)を設計する方法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は,先行研究の結果を調査・整理した上で,モデル変動を有するネットワーク動的システムのモデリング及び均一なノミナルモデルと時不変ネットワークに対するロバスト協調条件に関する研究を行うことになっていた. 「研究業績の概要」で述べた通り,本年度の研究では,ゲイン有界な加法的モデル変動を有するエージェントモデルがロバスト分散協調制御において有用であると考え,有向グラフで定義される時不変ネットワーク上でのロバスト協調(同期)の条件を導出した.この条件は,受動性の仮定の下で非均一なノミナルモデルにも適用可能である.また,この条件は,ネットワークのグラフ・ラプラシアンに関する線形行列不等式として与えられるため,ロバスト性とネットワーク構造との関係を調べることが可能である.以上のことから,本年度の研究目標はおおむね達成できていると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
1.【非均一なノミナルモデルや時変ネットワークに対するロバスト分散協調条件】前年度の結果を発展させて,各エージェントのノミナルモデルが非均一な場合やネットワーク構造が時間や状態に応じて変化する場合のロバスト協調条件を導出する. 2.【複雑ネットワークに対する検討】社会システム,ウィルス感染経路やインターネットを表現するネットワークモデルとして広く用いられているスモールワールドネットワーク,スケールフリーネットワークなどに対して,1.のロバスト協調制御を適用し,グラフの次数分布,平均頂点間距離,クラスタ係数とロバスト性の関係を調べる. 3.【大規模ネットワーク動的システムのロバスト設計】モデル変動の下でロバストに協調タスクを達成するシステム設計法を開発する.具体的には,上述のグラフラプラシアンがロバスト協調条件を満たすようにフィードバックゲインを適当な数値最適化手法により設計する.大規模ネットワークに対しては,ネットワークの構造を利用した効率の良い設計アルゴリズムを検討する. 4.【シミュレーション及び実験による検証】小型移動ロボット群の制御実験やおよび大規模ネットワーク動的システムのシミュレーションを通じて,得られた理論的成果の検証を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度末に17,842円が残ったが,少額であるので有効利用のため,次年度に繰り越し次年度研究費と合わせて使用することにした.この次年度使用額は,本研究におけるシミュレーション及び検証実験のための物品購入にあてる予定である.
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Research Products
(5 results)