2013 Fiscal Year Research-status Report
モデル予測制御の組込みCPUへの実装と移動ロボットの制御
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24560555
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
野中 謙一郎 東京都市大学, 工学部, 教授 (30298012)
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Keywords | モデル予測制御 / 組込みシステム / 移動ロボット / 非線形制御 / 座標変換 |
Research Abstract |
脚車輪型移動ロボットの組込みCPUにモデル予測制御則をリアルタイム実装するために,モデル予測制御側の計算の高速化に取り組んだ.脚車輪型移動ロボットのモデル予測制御については,昨年度実装した4脚を統合した制御方法において,計算時間が大きく高速走行が困難であったことを踏まえ,それらを分割して4脚をサンプリングごとに順に繰返し計算し,低次元化により毎サンプリングの計算時間を抑制する計算方法の開発に取り組んだ.本年度はシミュレーションによって,各脚の経路追従制御が可能であることを確認した. また,障害物による移動範囲の制約や操舵角度の可動範囲の制約を満たしながら,経路追従制御を実現する手法に取り組み,4輪独立操舵車両の実機実験で性能の改善を検証した. 具体的には,LRSを用いた障害物回避手法であるファジーポテンシャル法で計算した経路を参照経路として,モデル予測制御によって操舵や車輪回転角速度の物理特性を考慮した運動を実現した.また,関節角度の制約と特異状態を考慮した経路追従制御を達成するために,操舵角速度と車輪回転加速度を入力として操舵角度の制約を陽に考慮した,計算コストの低いモデル予測経路追従制御則の開発に取り組み,実験でその結果を検証した. さらにロボットの自己位置を推定する手法の改善にも取り組んだ.LRSによる自己位置推定については,準ニュートン法に基づく可変重み型カルマンフィルタの性能を実験で検証し,その有効性を示した.また,前輪操舵車両を用いた時間軸状態制御形による低次元化手法の性能改善のために,経路を仮想時間軸とする時間軸状態制御形により,経路追従性を改善した.加えて,組込みCPUに非線形タイヤモデルを考慮した制御則を実装し,前輪操舵車両のタイヤ力の飽和を考慮した経路追従制御を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,(1)脚車輪型移動ロボットのモデル予測制御における,計算コストの削減による走行速度の高速化,(2)車輪型移動ロボットの移動範囲やアクチュエータ可動範囲などの制約範囲の考慮,(3)LRSによる自己位置推定性能の向上,(4)経路追従制御手法の改善,(5)タイヤ力配分制御の実装,に取り組んだ. (1)の脚車輪型移動ロボットのモデル予測制御の計算コストについては,昨年度実装した4脚を統合した制御方法において計算時間が大きかったことを踏まえ,それらを分割して4脚をサンプリングごとに順に繰返し計算し,低次元化により毎サンプリングの計算時間を抑制する計算方法の開発に取り組んだ.本年度はシミュレーションによって,各脚の経路追従制御が可能であることまでを確認した.今後は実装を進める必要がある. (2)については,参照軌道の生成にファジーポテンシャル法を導入し,障害物の回避軌道の参照値をLRSからリアルタイムに求め,モデル予測制御による入力と追従性能の最適化を行い,4輪操舵車両型移動ロボットにおいて性能の改善を確認した.並行して,アクチュエータの可動範囲と入力の連続性を実現する計算コストを抑制した制御手法の開発に取り組み,従来手法より優れることを実験的に検証した. (3)のLRSによる自己位置推定については,準ニュートン法に基づく可変重み型カルマンフィルタの性能を実験で検証し,その有効性を示した.今後も最適化計算の改良に取り組み,速度を向上させる必要がある. (4)については,前年の前輪操舵車両を用いた時間軸状態制御形による低次元化手法の性能改善のために,経路を仮想時間軸とする時間軸状態制御形を導出し,経路追従性を改善した. (5)については,非線形タイヤモデルを考慮した制御則を組込みCPUに実装し,前輪操舵車両のタイヤ力の飽和を考慮した経路追従制御を実験で検証し,その有効性を示した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,前年度までに開発した組込みCPU用モデル予測制御プログラムを脚車輪型移動ロボットに実装し,その動作を検証するとともに,姿勢と車輪位置を同時に変化させた障害物回避運動を実現する.具体的な内容を下記の(a)(b)(c)に示す. (a) モデル予測制御の計算速度の改善:本研究で用いる脚車輪型などの移動ロボットでは,低速な組込みCPUに制御則を実装している.本研究でこれまでに提案してきた低次元化や高速化の実装について,さらに検証を進めて移動ロボットの運動性能の改善を図る. (b) 高速走行による障害物回避実験:これまでに実現した障害物回避の走行速度は0.5m/s以下であったが,これを人と同程度の移動速度の1m/sを目標に速度を向上させる.そしてタイヤ力配分制御則の有効性を検証する. (c) 計算時間を考慮した移動速度調整則の開発:複雑な経路などで,最適化計算に多くの時間を要すると予想される状況では,移動速度を低下させて最適化計算が追いつくように調整する必要がある.モデル予測制御の評価関数に,予想される計算時間を組み入れることによって走行速度を調整し,実時間性を確保する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に投稿した論文の掲載費用としていました. 上記論文の掲載が平成26年度になったので,次年度に使用します.
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