2014 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートの材料劣化および修復過程の組織解明に基づく画像診断法の提案
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24560564
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五十嵐 心一 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (50168100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 体積抵抗率 / 凝結 / けい酸塩系表面含浸材 / 等価かぶり / 中性化速度係数 / 空間統計量 / 気泡間隔係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
セメント系材料の材料劣化および修復過程における組織変化を,反射電子像の画像解析により明らかにし,その定量評価値を材料設計値や維持管理特性値に関係づけることを目的とした.そして,最終年度においては,組織形成から劣化,修復へと組織変化の特徴を体系的に評価することを念頭に置いた.これまでは一連の組織変化に関して,水和反応過程の中でも,特に硬化後の微視的構造の特徴にばかり注目してきた.しかし,これまでの成果から,粒子初期配置や凝結以前の組織変化が物性に影響を及ぼすことが示唆された.そこで,今年度においては,打ち込み直後のプラスチックな状態からの組織変化を明らかにすることに重点を置いた.また,修復過程としてけい酸塩系表面含浸材による長寿命化の効果を,等価かぶりの概念を介して材料設計値である中性化速度係数へ結びつけることを行った.さらに,劣化現象として新たに凍害を対象とし,気泡連行に関して,その空間構造を画像解析に基づいて評価することを試みた.主な結果は以下の通りである. (1)プラスチックな状態から硬化にいたるまでの体積抵抗率の変化から,水セメント比によって凝結時の固体構造の特徴が大きく異なることが示された.低水セメント比では凝結と空隙の連続性の低下が密接に関係している. (2)けい酸塩系表面含浸材により表層は緻密化し,複合則を適用して推定した改質層の電気伝導率は,非改質部の1/3程度であった.また,物質透過に関しては,改質層の厚さ程度のかぶりが増大したのと同様の効果をもち,電気伝導率と等価かぶりから推定された中性化速度係数は,非改質部の約50-60%の値であった. (3)気泡の空間構造の評価において,従来よりも低倍率の画像を用いても,その特徴の差異の評価は可能であった.また,従来の特性値である気泡間隔係数と対応した新しい特性値が得られ,点過程の考え方を導入することの有用性が示された.
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