2013 Fiscal Year Research-status Report
高炉セメントの化学組成・比表面積を考慮した自己膨張・収縮特性の評価式
Project/Area Number |
24560571
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮沢 伸吾 足利工業大学, 工学部, 教授 (10157638)
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Keywords | 高炉セメント / 自己収縮 / 初期膨張 / 乾燥収縮 / 比表面積 / 化学組成 / クリンカー |
Research Abstract |
セメントクリンカーの鉱物組成を調整することにより、初期強度発現に優れた高炉セメントを試作し、その収縮特性の評価を実験に基づいて実施した。特に、クリンカーの主要鉱物であるエーライトの含有量を70%程度に増大させて製造した高エーライトセメントを高炉セメントに適用することとし、さらに高炉スラグ微粉末の比表面積の影響に着目することとした。 高エーライトセメントを用いたコンクリートでは、SO3量を確保すると、初期材齢に数十マイクロ程度の膨張ひずみが生じ、これにより長期材齢における自己収縮の低減が認められた。高炉スラグ微粉末を混入した場合でも、初期材齢における膨張ひずみが認められた。膨張ひずみの大きさは、高炉スラグ微粉末の比表面積によらず同程度であったが、膨張終了後の自己収縮ひずみは、高炉スラグ微粉末の比表面積が大きいほど大きい傾向が認められた。 高エーライトセメントを用いたコンクリートの乾燥収縮ひずみは、普通ポルトランドセメントを用いた場合より80マイクロ程度小さくなった。なお、高炉スラグ微粉末の比表面積がコンクリートの乾燥収縮ひずみに及ぼす影響は小さいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究により、コンクリートの初期膨張および自己収縮に及ぼす高炉スラグ微粉末の比表面積の影響について実験により把握し、その定量的評価方法を提案した。平成25年度の主な研究課題である、初期膨張・自己収縮に及ぼす高炉セメントの化学組成の影響については、クリンカーのエーライト(C3S)量の影響について実験データを取得し、各体積変化挙動(初期膨張、自己収縮、乾燥収縮)への影響度について、各材齢におけるひずみ挙動の差異に基づいて評価することができた。従って、本研究の2年目における成果としては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高炉セメントの化学成分として、石こう及び遊離石灰の含有量が膨張・収縮性状に及ぼす影響について検討を行う予定である。また、ベースセメントの比表面積の影響についても検討を行う予定である。そのためには、鉱物組成及び比表面積を調整した複数のベースセメントの試作が欠かせないので、最終年度は、クリンカーサンプルの試作においては既存の実機プラント及びテストプラントの併用して行うことを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の再現性を確認するために実験量が予定より増えたため、学生による実験補助謝金が予定より増加したが、物品費および旅費を当初予定額より削減し、結果として次年度使用額が38,797円となった。 コンクリートの収縮ひずみとの関連を把握するために弾性係数を測定する予定であるが、そのための測定機器(コンプレッソメータ)の購入及び実験データの収集・整理に使用するコンピュータの購入を予定している。また、実験の実施に際しては、本学の学生に実験補助を依頼する予定であるので、そのための謝金を支出する予定である。さらに、コンクリート関連の学会に出席して、本研究の成果発表を行うとともに、高炉セメントやコンクリートの収縮に関する情報収集を行うための旅費の支出を予定している。
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