2012 Fiscal Year Research-status Report
CFRPの変形・耐荷メカニズム解明に向けた材料と構造の統合的アプローチ
Project/Area Number |
24560575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 高志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40301121)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CFRP / 曲げ部材 / 積層構成 / 画像計測 / 変形機構 / 耐荷機構 |
Research Abstract |
本研究では,CFRP(炭素繊維補強プラスチック)構造部材の変形・耐荷挙動の力学的メカニズムの解明を,材料と構造の統合的アプローチにより行うことを目的として,以下の5項目に沿って実施する.(1)CFRP材料試験値の適用範囲の検討:小規模試験体の材料試験値は構造物での材料特性と異なる.その適用範囲を明らかにする.(2)CFRP構造解析用の材料特性値の検討:構造解析に用いる材料特性値を,材料試験値から合理的に得る方法を考案する.(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明:異なる終局形態の実験を行い,画像計測と合わせて,変形・耐荷機構の解明を行う.(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築:実験で観察された変形・耐荷挙動を再現できる有限要素解析手法と簡易推定式の構築を行う.(5)CFRP構造部材性能の観点からの最適積層構成の検討:構築した解析手法を用いて,最適な断面構成と中詰材の効果について明らかにする. 平成24年度については(1)~(3)について実施し,以下の成果を得た. (1)と(2)については,2種類の積層構成のCFRPについて材料試験と曲げ載荷実験を行った.斜行方向の繊維による寄与が減じられる場合に,材料試験から得られた弾性係数は積層理論による算定値と比較して小さい値が得られることを確認した.一方で,積層理論による算定値を用いた曲げ耐荷力は実験値に近いことを確認した.(3)については,せん断スパン長を変えて曲げ載荷実験を行った.材料試験による特性値で算出した曲げ耐荷力は,異なるせん断スパン長に対しても実験値と概ね一致した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度については(1)CFRP材料試験値の適用範囲の検討,(2)CFRP構造解析用の材料特性値の検討,(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明,について実施し,以下の成果を得た. (1)と(2)については,2種類の積層構成のCFRPについて材料試験と曲げ載荷実験を行った.斜行方向の繊維による寄与が減じられる場合に,材料試験から得られた弾性係数は積層理論による算定値と比較して小さい値が得られることを確認した.一方で,積層理論による算定値を用いた曲げ耐荷力は実験値に近いことを確認した.(3)については,せん断スパン長を変えて曲げ載荷実験を行った.材料試験による特性値で算出した曲げ耐荷力は,異なるせん断スパン長に対しても実験値と概ね一致した. 研究計画で当年度に予定していたことは概ね実施され成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降については,(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明,において,供試体を多数作成し載荷実験を行うため,2年度目においても継続実施する.加えて,(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築,について実施を開始する.解析手法においては,2通りのCFRPの材料構成則を検討する.1つ目の方法では,CFRPの積層を平均化し1つの単層として扱う.もう1つの方法では,CFRPの積層の各層の構成則を足し合わせて積層板の構成則を設定する.前者は後者に比べて厳密さに劣るが解析は簡易となる.後者は各層内での応力を評価することが可能であり,より厳密な耐荷機構についての検証を進める.加えて,進行性破壊を適切に表現できる構成則を開発し,部材の非線形挙動を再現できる解析手法の構築を行う.そして,変形・耐荷挙動をより再現できる有限要素法を用いた解析手法の構築を経て,支配的な機構に基づいた簡易な推定式の開発を行う. 最終年度には,(5) CFRP構造部材性能の観点からの最適な断面と積層構成の検討,を構築した解析手法と推定式を用いて実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では次の5項目を実施することで研究目的を達成することとしている.(1)CFRP材料試験値の適用範囲の検討,(2)CFRP構造解析用の材料特性値の検討,(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明,(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築,(5)CFRP構造部材性能の観点からの最適積層構成の検討,である.初年度においては(1)から(3)を実施して,2年度目では(3)の継続実施と(4)の実施としている.(2)と(3)における予備解析において必要とした計算機の購入を翌年度としたため24年度未使用額が発生した.25年度にはこの計算機の購入を行う.
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