2012 Fiscal Year Research-status Report
耐候性鋼材における保護性さび生成メカニズムと再腐食プロセスの解明
| Project/Area Number |
24560582
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Yamaguchi University |
|---|
Principal Investigator |
麻生 稔彦 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30231921)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | 耐候性鋼材 / 腐食 / 鋼橋 / 維持管理 |
|---|
| Research Abstract |
鋼橋材料として近年その使用数が著しく増加している耐候性鋼材について、防食性能を発揮させるための保護性さびの生成におよぼす外的要因の影響を定量的に評価し、保護性さびの生成メカニズムを解明することは、耐候性鋼橋梁の設計・製作ならびに維持管理にとって非常に重要である。
本年度は、種々の環境下における曝露試験を開始するとともに、鋼材表面の濡れ時間測定手法の高度化について検討した。曝露試験では、温湿度および降雨環境の違いを評価するために、大気曝露と箱内曝露の双方をおこない、それぞれにおいて塩水およびさび生成を加速あるいは抑制すると想定される溶液の噴霧をおこなった。この曝露試験は今後も継続して実施しさび生成状況をさび厚およびイオン透過抵抗により評価する。鋼材表面の濡れ時間は直流抵抗を直接測定することにより計測する。鋼材のおかれた環境および鋼材表面のさび厚さの違いが鋼材濡れ時間におよぼす影響を検討した。さらに、ACMセンサーを用い、表面のさびの存在による濡れ時間の差異についても検討した。その結果、ACMセンサーを用いた腐食電流の測定による濡れ時間は，ISOにより算定される濡れ時間と同程度の値を示すことが確認された。一方、直流抵抗値が示す濡れ時間とTOWISOでの濡れ時間は異なり、ISOではさび層に水が存在しない状態においても濡れ時間と評価する。そのため、鋼材に直接端子を設置し濡れ時間を測定する本研究の測定方法は濡れ時間を評価するのに有効な方法であると考える。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の一つである、異なる環境下での保護性さびの生成状況の評価については、曝露試験を開始しさびの生成状況を追跡観測している。さらに、鋼材表面の濡れ時間測定手法の高度化については、種々の条件下での濡れ時間計測を実施した。また、従来から用いられているACMセンサーによる濡れ時間およびISOに規定されている濡れ時間との比較検討も実施できた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
（１）塩化物および気象条件が保護性さびの生成におよぼす影響の解明：前年度に引き続き、暴露試験を継続する。いくつかの試験片については、EPMA分析により、さび内部の塩類の蓄積状況を明確にし、偏光顕微鏡観察により保護性さびの生成状況との関係を検討する。また、超音波板厚計により残存板厚の計測をおこなう。
（２）洗浄およびさび除去による鋼材表面の残留塩類の評価：前年度より継続している暴露試験のうち、いくつかの試験片について①高圧水洗による表面塩化物の除去、②グラインダー等の電動工具によるさび除去、③ブラストによるさび除去のいずれかを実施し、方法の違いにより鋼材表面あるいはさび表面に残置される塩類の量を計測する。これにより、現在実施されている補修方法の効果の確認をおこなうとともに、再腐食プロセスの初期条件を明確にする。
（３）再腐食プロセス解明のための暴露試験：上記(2)で作成した試料の再腐食のための暴露試験を開始する。この試験では、比較のために新規の鋼材も併せて暴露する。この暴露試験でも、さび厚とイオン透過抵抗値を概ね10日毎に計測する。また、孔食の進展が予想されるため、適宜、顕微鏡による表面観察をおこなう。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は実験消耗品の購入の他、EPMA分析、さび成分分析の分析に支出する。また、次年度使用額は次年度請求額とあわせ、研究成果発表および研究資料収集のための旅費に使用する。
|
Research Products
(5 results)
