2013 Fiscal Year Research-status Report
耐候性鋼材における保護性さび生成メカニズムと再腐食プロセスの解明
Project/Area Number |
24560582
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
麻生 稔彦 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30231921)
|
Keywords | 耐候性鋼材 / 腐食 / 鋼橋 / 維持管理 |
Research Abstract |
鋼橋材料として近年その使用数が著しく増加している耐候性鋼材について、防食性能を発揮させるための保護性さびの生成におよぼす外的要因の影響を定量的に評価し、保護性さびの生成メカニズムを解明することは、耐候性鋼橋梁の設計・製作ならびに維持管理にと って非常に重要である。 本年度は、種々の環境下における曝露試験により耐候性鋼材におけるさびの生成メカニズムを検討した。曝露試験では、温湿度および降雨環境の違いを評価するために、大気曝露と屋根下曝露の双方をおこない、それぞれにおいて濃度の異なる塩水噴霧をおこなった。この曝露試験ではさび生成状況をさび厚およびイオン透過抵抗により評価する。実験結果によれば、高塩分環境下では雨水による洗い流しの効果は発現しないことが明らかとなった。また、これらの実験結果よりさび厚さを予測するためのモデルの構築をおこなった。このモデルでは塩分濃度をパラメータとしており、耐候性鋼材のさび生成に及ぼす外的要因を定量的に評価するための第1ステップと考えている。 さらに、付着した塩分を高圧水洗および薬剤により除去する方法についての検討を進めた。それぞれの方法により塩分除去を試みた鋼材のEPMA分析により、高圧水洗ではさび層内部の塩分の除去は困難であることが示され、これが再腐食の大きな要因となりうることがうかがわれた。一方、薬剤による除去はその可能性は示されたものの、効果的な工法については今後の検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「塩化物および気象条件が保護性さびの生成におよぼす影響の解明」および「再腐食プロセスの解明」に関して、研究目的に即した曝露試験を実施しておりほぼ当初計画通りの成果が得られている。特に塩化物の影響に関しては定量的なさび厚予測モデルの構築をおこなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)塩化物および気象条件が保護性さびの生成におよぼす影響の解明:これまでに引き続き曝露試験を継続する。また、EPMA分析により、さび内部の塩類の蓄積状況をさらに明確にする。 (2)洗浄およびさび除去による鋼材表面の残留塩類の評価:前年度に継続し、薬剤による塩分除去について研究を進め、これまでに無い効果的な補修方法について検討を進める。 (3)再腐食プロセス解明のための暴露試験:これまでの研究で作成した試料の再腐食のための暴露試験を継続する。特に上記(2)で実施する補修についてはこれまでに研究例が無いことから詳細な検討を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査旅費を節約したため残額が生じている。 次年度の旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)