2012 Fiscal Year Research-status Report
土水連成土石流モデルを用いた砂防構造の耐衝撃性照査法の高度化
Project/Area Number |
24560594
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
別府 万寿博 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 准教授 (90532797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 佳巨 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40304737)
前田 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50271648)
浅井 光輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90411230)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 粒子法 / 土石流 / 混相流 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題は,MPS粒子法を用いて土石流を受ける砂防構造物に対する耐衝撃性照査法の高度化を目指すものである.その内容は,①粒子法による固液混相流プログラムの開発および同手法による土石流荷重の評価,②土石流と砂防構造の衝撃連成解析手法の高精度化,③強非線形材料モデルの開発,に大別される. 平成24年度は,本研究課題の中核となる粒子法を用いた固液混相解析プログラムの検討を行った.土砂の弾塑性挙動を表現するために,粒子法に弾塑性モデル(Drucker-Prager降伏基準)を導入した.本モデルにより,微小変形を仮定した固体の弾塑性挙動をある程度の精度で再現することができた.ただし,土砂の斜面崩壊解析を行ったところ,不安定な挙動を示す場合があったため,弾塑性モデルとは別にビンガム流体を導入した.ビンガム流体の精度を検証するために,斜面崩壊解析を行った.その結果,ビンガム流体の降伏応力等によって土石流や土砂の挙動を再現できることを確認した.また,土石流中の礫を剛体でモデル化したMPS-DEMモデルと鋼製薄板部材との連成解析を行った.本解析手法を用いて過去に行った実験をシミュレーションした結果,土石流モデルの段波発達過程や荷重特性とともにはり部材の変形を良好に再現できた. 粒子法解析における圧力の不自然な高周波振動,および粒子法による固体のシミュレーション解析についても検討を行った.その結果,粒子法で用いるパラメータによっては,圧力の振動や固体解析の精度低下が生じることが確認された.これらの課題については,コンシステンシー条件の改良や乱流モデルを導入するなど改善を図りつつあるが,今後も継続して検討を行う必要がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,土と水の動的連成を考慮した固液混相解析を実施した.また,粒子法における数値不安定性について検討を行った.固液混相解析の基本的な考え方は,固相を弾塑性モデルで,液相をこれまでに開発した粒子法で解析し,相互作用モデルを組み込む予定であった.しかし,固相の弾塑性モデルがやや不安定な挙動を示す場合があったため,ビンガム流体を導入して対応している.土砂や土石流の流動は,ビンガム流体でも再現可能であることを確認したが,今後は固体の弾塑性モデルを完成し,水の浸透解析を行うことが課題である. 粒子法の数値不安定性については,コンシステンシー条件や乱流モデルの導入を試みている.現在,これらの精度について確認中であり,今後も継続して数値安定性について検討する.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成24年度に達成できなかった,固相の弾塑性解析を完成させる.その後,土・水連成解析を実施する.本解析プログラムの精度を確認するため,土砂の急水路流動実験を実施し,流動状況や荷重を計測する.開発した解析プログラムを用いて,本実験のシミュレーションを行う予定である.また,土石流モデルと砂防堰堤モデルとの連成解析では,これまで弾性体でモデル化していた構造部材に弾塑性モデルを導入する.特に,礫と構造部材の接触解析については,FEMとの比較を行って,精度の高度化を目指す. 粒子法の数値安定性の改善については,コンシステンシー条件の改良や乱流モデルの導入を試行しているが,今後も安定性に関するパラメーターの感度等を確認する予定である. 上記のソフトが完成した後で,実地形を考慮した土石流シミュレーターを開発する.現在,地形ファイルから粒子モデルを生成するソフトを検討しており,このソフトを用いて実地形をモデリングする予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,ワークステーション,関連ソフトの改造および実験器材等を購入する予定である.また,研究者間の打ち合わせや消耗品に使用する予定である.
|