2013 Fiscal Year Research-status Report
大地震時における軟弱粘性土地盤上の河川堤防の変形ー破壊メカニズムとその強化法
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24560605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡 二三生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (10111923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 陽介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10444449)
木元 小百合 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362457)
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Keywords | 河川堤防 / 液状化 / 地震 |
Research Abstract |
東日本大震災や釧路沖地震で被災した河川堤防の変形―破壊メカニズムについてその変形モードが円弧状すべりではないことについての従来の指摘を解析的に明らかにするため、有効応力に基づく液状化解析法によるシミュレーション法COMVI2D-DY(2013)を開発し、その方法を大地震時の河川堤防に適用してきた。 今年度は具体的に、変形が大きいことを考慮し、有限変形解析法に基づく2次元多相動的解析法を開発し、それを種々の基礎地盤を有する不飽和河川堤防に適用した。その結果、有限変形解析により、堤防盛り土の地震時の変形モードが慣用解析法での仮定である円弧すべりモードではないこと、すべり方向は法肩から堤防内部へ向かう方向にあることなどが明らかとなった。 さらに、有限変形解析では、微小変形解析に比べてより実際に近い変形モードであること、沈下量は微小変形解析より小さいことを示した。 さらに、堤防内部での水分量の違いによる変形について明らかにし、堤防内部での高い地下水位は堤防の変形を大きくし、破壊を進展させる知見が新たに得られた。 一方、堤防の物性を明らかにするため、昨年豪雨にみまわれた京都市域の河川堤防とその付近の土地盤について3軸試験を実施し、その変形性能を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果である、大地震時の堤防の変形―破壊のデータと微小変形の仮定での動的な液状化解析法による堤防―地盤系の解析結果の成果に基づき、空気―水―土の3相動的解析法をより地際に近い大変形を再現するための有限変形理論のもとづく動的解析法による有限要素解析法を新たに提案し、その方法によって昨年度の微小変形解析との比較をおこなった。その結果、より実際に近い変形ー破壊メカニズムを再現することに成功した。 また、実験も河川堤防基礎地盤に対して行い、地盤物性のデータをさらに十分なものとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度開発した有限変形解析法を用い、さらに地盤構成のことなる地盤上の堤防盛土の安定性を研究するとともに、解析法に用いられている地盤の構成式をより高度なものとし、それを組み込んだ解析方法とする。特に、より一般性のある砂質土のモデルの有限要素法への組み込み、破壊条件の見直しなどを行う。 また、堤体については、不飽和であるため、その水分特性を正確にモデル化することに努める。最後に、現在予測されている大地震である、南海トラフ巨大地震時の堤防の安定性を明らかにするとともに、その強化法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には計画通りであるが、土の繰り返し実験に時間がかかり、年度を超えて実施してきていること、新しい有限変形動的解析プログラムの開発しにも時間がかかり、長時間シミュレーションの実施に時間が必要となってきているため使用計画に変化が生じているため。 最終年度は、時間がかかってきた実験とプログラム開発とそれによる解析を年度内に実施完了するべく各経費を使用する計画である。また、最終年度であるため発表、印刷経費も使用する計画である。
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Research Products
(5 results)