2012 Fiscal Year Research-status Report
熱環境下における岩石フラクチャーの透水・力学特性変化メカニズムの解明
Project/Area Number |
24560607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木下 尚樹 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (30263958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 透水性 / 岩石不連続面 / 化学・力学連成作用 / 持続載荷 |
Research Abstract |
熱水貯蔵システムや高レベル放射線廃棄物の地層処分では地下岩盤空洞の長期性能評価が重要な課題となる.これらの空洞では周辺岩盤に非定常の温度分布が生じ,熱応力も発生する.結晶質性の硬岩では不連続面が水理学・力学的な弱面になるため,これらの透水・力学挙動を把握することは重要な課題の一つである.申請者は高温・高圧下における結晶質岩不連続面の透水挙動を定量的に評価し,鉱物の溶解作用が透水性に及ぼす影響を明らかにした.本申請の研究では,これらの成果をさらに発展させ,不連続面への力学作用が透水挙動や鉱物溶解作用に及ぼす影響について定量的に評価し,透水・力学特性変化メカニズムの解明を行う. これまでの研究成果から見出された課題の解決を目指す.具体的には,不連続面の透水特性変化に及ぼす力学的作用の定量評価は十分ではないことから,不溶解性流体を用いた鉱物溶解現象のない透水実験による力学的作用の影響を定量的に評価する.また,不連続面垂直方向への持続載荷実験(クリープ実験)により不連続面の開口幅変化を把握し,力学的作用の定量評価を行う. つぎに,現有の岩石せん断実験装置に透水機能を持たせ実験を行い,不連続面に平行方向のせん断応力が透水・力学特性変化に及ぼす影響について評価する.さらに,高温・高圧環境下での透水・せん断履歴を受けた不連続面表面の微視構造観察を行い,透水・力学特性変化に影響を及ぼす要因を探索する.これらの結果により,熱環境下における岩石フラクチャーの透水・力学特性変化メカニズムを解明する. 平成24年度は,(1)不溶解性流体を用いた(鉱物溶解現象のない)透水実験による力学的作用の影響評価,(2)不連続面垂直方向への持続載荷実験(クリープ実験)による力学的作用の定量評価を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,(1)不溶解性流体を用いた(鉱物溶解現象のない)透水実験による力学的作用の影響評価を実施した.具体的には透水実験でシリコンオイル等の不溶解性流体を用いて,鉱物溶解の生じない状態において,温度(20-90℃),応力(0-10MPa),時間(1000時間程度)の条件下で実験実施した.同時に透過した流体(溶液)をサンプリング保存し,実験結果を鉱物溶解条件の既往の実験結果と比較検討することにより,力学的作用の影響を定量的に評価した.また,(2)不連続面の微視的構造の変化の把握(定量分析),サンプリング溶液の定量測定(ICP分析,pH測定),不連続面の微視構造観察(SEM, EDX)を実施した.また,(2)不連続面垂直方向への持続載荷実験(クリープ実験)による力学的作用の定量評価を実施した.具体的には実験準備として持続載荷実験用セルおよび温度循環装置の作製, 持続載荷実験として透水実験と同様な温度,応力,時間条件において実施した.供試体は乾燥,湿潤(純粋,不溶解性流体)にて行ない,変位はひずみゲージ,レーザー変位計,ピストン変位など複数で計測した.同時に循環流体の定量分析も行い,載荷実験の結果から力学的作用の影響を定量評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,不溶解性流体を用いた透水実験による力学的作用の影響評価(継続),不連続面垂直方向への持続載荷実験(クリープ実験)による力学的作用の定量評価(継続),不連続面せん断透水実験によるせん断応力が透水特性に及ぼす影響の検討,不連続面表面の微視構造観察および透水性経時変化のメカニズム解明,構成則の構築を計画しており,岩盤空洞周辺の熱・水・応力・化学連成解析手法の開発につながり,精度の高い岩盤空洞の長期安定性評価を実施できると確信する.現在,信頼性の高い熱・水・応力・化学連成解析手法は確立しておらず,本研究は全世界的に観ても非常に独創性が高く,長期安全評価を行うための有益な成果が得られると期待する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では,当初計画より物品費の経費が減少したため,次年度以降に計上する.研究費としては,物品費(消耗品類),学会発表,資料収集旅費,謝金,論文投稿料が必要である.
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Research Products
(2 results)