2013 Fiscal Year Research-status Report
土の残留状態におけるクリープ強度特性および地すべりの長期安定性評価
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24560608
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
N.P Bhandary 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (10363251)
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Keywords | 地すべり / 地すべり粘土 / リングせん断試験 / 土の残留状態 / クリープせん断破壊 / クリープせん断応力比 / 限界変位 |
Research Abstract |
本研究課題について平成24年度~平成25年度に予定していた基礎実験的研究およびその成果の公表(発表)は予定通り進めてまいりました.主に,年度初めに土の残留状態におけるクリープせん断試験可能な改良型リングせん断試験を試作し,各種地すべり粘土を用いてリングせん断試験および残留状態におけるクリープせん断試験を実施し,得られた実験結果の解析を行い,土質力学的観点から検討を行った.また,実験データを中心に実験方法の正当性とそれに関わる測定条件および制度に関する検討も行いながら,途中で実験機器の更なる改良を行った.平成25年度中に主に2点に着目して実験を実施した:1)リングせん断試験中にせん断を中断した時その停止期間が残留強度に及ぼす影響,2)残留状態に至った粘土試料に対するクリープせん断応力比(クリープせん断応力/残留強度)とクリープ破壊時間とクリープ破壊までの変位の関係.その結果,「1」について停止期間が長くなると強度に影響が現われることと「2」について,クリープせん断応力比が1以上であればクリープせん断破壊が起きるが,これが1より小さい場合いつまでも破壊が生じあいことを確認した.また,クリープせん断応力比が増えると破壊までの時間が減少し,今回用いた地すべり粘土の代表的な試料に対して,クリープせん断応力比は最大でも1.02~1.04と判明した.これより,残留状態におけるクリープせん断破壊はクリープせん断応力比が1~1.04の時に起きることが分かった.そして,すべての実験から粘性土は残留状態において限界変位という特徴を有していて,どのクリープせん断応力比でクリープせん断していても時間の経過とともに限界変位に達するとクリープ破壊が生じることが分かった.今回得られた実験結果を中心にした研究成果を3件の国際ジャーナル論文と2件の国内学会発表を通じて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験機器の試作がやや遅れ,予定通り実験が進んでいないことが言えるが実験回数は予定以上に進んでいる.また,粘土試料数と実験回数を予定以上に増やせて実験を行ったためやや時間も要している.現在も継続的様々な条件で実験を実施している.また,実験機器の精度,特に機械的摩擦の減少,変位測定制度の向上なども予定していて現在新にリングせん断試験機の改良を行っている.概ね予定通り研究が進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究期間の最終年度であり,予定している実験の継続とその結果に基づく地すべり移動プロセスとその完全破壊予測システムの開発を目指している.今までの実験結果に基づき,既に残留状態におけるクリープ破壊予測に関して粘性土の残留強度,クリープせん断応力比,そして限界変位の関係式を実験データの回帰分析から提案しており,今後その式を土質力学的観点から検証していく予定である.また,予測結果と実験結果の相互性も確認しながら,提案式の実証も行う予定である.これらの結果から地すべりのような長期にわたる移動プロセスを予測できれば完全破壊も予測できると考えている.以下,平成26年度以内の研究計画である. 1)各種代表的地すべり粘土を用いて残留状態におけるクリープせん断破壊試験の継続 2)実験から得られたデータを基に回帰分析を行い土の強度,限界変位,そしてクリープせん断応力比との関係を新に実証 3)地すべり移動観測データを基に提案式から得られた予測値を検証 4)地すべり破壊予測に関する新案
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Research Products
(10 results)