2012 Fiscal Year Research-status Report
日本沿岸における洋上浮体係留のためのサクションアンカーの適用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24560610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北 勝利 東海大学, 海洋学部, 教授 (60234225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サクションアンカー / 把駐力 / 遠心模型実験 / 浮体構造物 / 係留 |
Research Abstract |
10g遠心力場において、ゆる詰めシルト質砂地盤(相対密度25~35%)における円筒形サクションアンカーの沈設、および緊張係留を念頭に置いた鉛直上方引き抜き実験を実施した。実験では、地盤透水性の低減を目的として間隙流体として高粘性(11~13mPas)のメトロース水溶液を採用し、アンカー引き抜き速度が把駐特性に及ぼす影響について検討した。また、間隙流体として水を用いた透水性の高い地盤条件における引き抜き挙動との比較も行った。実験の結果、鉛直引き抜き載荷の場合には、過去に実施した低仰角(20~40度)の斜め上方引き抜きの場合と比較してアンカー形状やワイヤー結節点位置など異なるがアンカー形状やワイヤー結節点位置など異なるが、より小さな変位域で把駐抵抗(ワイヤー張力)が最大となる脆性的な挙動を示した。また急速引き抜きの場合と比較して、緩速引き抜きや間隙流体を水とした場合(引き抜き速度は急速の場合の0.17~0.38倍)では、アンカー天端内側や下端での水圧ピーク値(負圧の絶対値)は小さく、最大把駐抵抗も17~21%小さくなった。 次に高仰角(58度)斜め上方引き抜き実験を行った。ワイヤーは天端中心上方でアンカーに結節している。急速引き抜きケースでは、鉛直引き抜きの場合と同様に小引き抜き変位域で高い把駐剛性を示すが、その後アンカー回転に伴い把駐抵抗、ケーソン天端内側および下端部での水圧(負圧)はワイヤー牽引量とともに漸増し、最大把駐力発現時のワイヤー牽引量は鉛直引き抜きの場合にくらべ大きくなった。一方、緩速引き抜きケースでは、最大把駐抵抗は急速引き抜きの場合に比べ24%小さく、把駐抵抗ピーク時のワイヤー牽引量は小さい。 また、遠心模型実験で使用したシルト質砂の強度特性の評価を目的として、単調載荷中空ねじりせん断試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
剛塑性有限要素法による遠心実験結果のシミュレーションを予定していたが、3次元解析プログラムを開発途中であり、解析まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度より継続して遠心模型実験によるサクションアンカーの斜め上方牽引時の把駐特性調査を行う。本年度の実験では、低仰角域を中心にワイヤー牽引仰角、結節点位置などを変化させ、把駐抵抗やアンカー姿勢、アンカー内外部における間隙圧挙動を計測することにより、これらのパラメータがサクション発生消滅や把駐抵抗の発現特性、牽引中のアンカー姿勢などに及ぼす影響について系統的に調査する。 現在開発中の剛塑性有限要素解析プログラムを完成させ、前年度実施の遠心実験のシミュレーションを通して解析法の妥当性を検討する。次に、地表からの深度に対し一定または深度比例型といった非排水強度の深度プロフィールや、アンカー形状(根入れ比)、係留索の牽引仰角、結節位置などの幾何パラメータを変化させたパラメトリックスタディを実施し、これらの地盤強度および幾何パラメータがアンカー周辺地盤の流動方向や流動域範囲、アンカー運動、把駐抵抗に及ぼす影響について検討する。特に、既往の数 値解析結果やサクションアンカー把駐力推定のための塑性解析において仮定されている流動場との対応に注目する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品関係:遠心実験の間隙流体作成用の工業用メトロース粉末および地盤作成時使用のシリコングリスを購入予定である。 旅費関係:遠心実験では、京都大学防災研究所施設を1週間×3回利用予定であり、調査研究旅費243000円を使用予定である。また国内学会発表(富山、東京)に成果発表旅費35000円を使用予定である。 人件費・謝金関係:遠心実験データの整理および地盤材料の土質試験の補助として16人日を予定している。
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