2012 Fiscal Year Research-status Report
地盤の液状化現象における振動継続時間の影響に関する研究
Project/Area Number |
24560611
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
建山 和由 立命館大学, 理工学部, 教授 (10179731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰三 福井大学, 工学研究科, 准教授 (10380578)
横山 隆明 立命館大学, 理工学部, 助手 (30562110)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 液状化 / 時間依存性 / 電気抵抗 / 加振時間 / 間隙水圧 |
Research Abstract |
地盤の液状化現象の時間依存性が,局所的な液状化現象のはっせいとその空間的・時間的伝播に起因するという仮説を立て,立命館大学と福井大学のそれぞれで2種類の手法により現象の解明に向けた実験を行った.両大学における研究成果は下記の通りである. 1.液状化に関する空間的な伝播に関する実験(立命館大学・建山,横山担当) 砂地盤の液状化におよぼす時間効果が,地盤の不均一性に起因して局所的に発生した液状化が空間的に拡大する現象に起因するという仮説を検証するために,コークス粒子で作成した模擬地盤を振動台上で加振し,コークス地盤内の電気抵抗分布とその時間変化を計測する実験を行った.これまでに模擬地盤内の電気抵抗の分布とその変化を計測し得る手法を構築し,コークス粒子の電気抵抗の分布で粒子の局所的な液状化の発生とその伝播を把握し得る可能性があることを確認した. 2.液状化 に及ぼす時間影響に関する実験(福井大学・小林担当). これまで液状化しないと言われてきた土でも長時間の振動を与えることにより液状化に至る可能性があるため,その事実を確認するとともに,その結果を液状化判定に活かす方法を確立するために実験により調査を行った.実験では,港湾技術研究所の液状化判定基準において「液状化する/しない」の領域以下の細粒土,ならびに相対密度を段階的に変化させた砂試料を用いて,液状化の発生と加振時間との関係について調査を行った.現在までのところ液状化発生に及ぼす加振時間の効果を定量的に表現できるまでの結果を得るまでには至っていない.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地震時の液状化の予測では,これまで地盤のせん断強度と地震動に起因して地盤内に発生するせん断応力との関係を用いて議論していたが,一昨年発生した東日本大震災では地盤の液状化現象が地震動の継続時間にも影響されることが示唆された.本研究では地盤の液状化現象が[地盤の不均一性に起因する局所的な液状化現象の発生]→[局所的な過剰間隙水圧の増加]→[局所的過剰間隙水圧の周辺への伝播]→[周辺地盤における液状化現象の誘発とその拡大]というプロセスにより発生し,時間の影響はこのプロセスの経過に起因するという仮説を立て,その妥当性を模型実験で検証するとともに実地盤の液状化現象の予測への反映手法について提案することを目的とする. 平成24年度は,液状化発生の時間依存性を検証するために,模擬地盤内における液状化の空間的・時間的進行過程をモニターするための手法として,「導電性粒状材料の電気抵抗の供試体内での分布を計測する実験」と「応力発光材料を用いて粒子間の応力の伝達状況の分布としてとらえる実験」の2種類の手法の開発を目標とした.このうち,前者の導電材料を用いた実験に関しては,基本的な実験システムを作成し,所定の計測を行い得ることを確認した.当初計画では,ある程度の実験成果を得るところまでを想定していたが,定量的な成果を得るまでには至っていないため,80%の達成度と評価する.これに対し,後者の応力発光材料を用いた実験に関しては,実験手法としての確立を試みたが,基礎実験の段階で液状化領域の空間的な分布を材料の発光特性の差異で評価することが難しいことが判明したため,通常の土質材料を使用した振動実験を行い,間隙水圧の変化で液状化発生の時間依存性と土質・加振条件との関係について調査を行った.当初の実験手法を変更することになったが,目標とする「現象を把握する手法の開発」という点では60%の達成度と評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に開発した導電性粗粒材料を使った振動実験のシステムを用いて,コークス粒子の電気抵抗の分布で粒子の局所的な液状化の発生とその伝播の計測を行う.コークス試料の粒径 振動数,振幅,粒状材料の初期平均密度,局所的なゆる詰め領域の大きさと相対密度を下記の条件で設定する. 1) 振動条件 両振幅:5mm~20mm の間で5水準,振動数 1Hz~20Hz の間で6水準 2) 供試土条件 平均粒径:0.5mm~10mmで4水準,初期相対密度:20%~50%の間で4水準 昨年,適用が困難と考えた応力発光材料を用いた振動実験については,引き続き適用性の改善に向けた努力を行うが,それと平行して通常の地盤材量を用いた振動実験において地盤内の間隙水圧分布を計測することにより,液状化の時間的・空間的な伝播について調査を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は,実験方法を確立する年であったが,予想外の現象への対応もあり,実験の開始が少し遅れた.このため,実験で使用する材料や消耗品が予定より少なくてすんだため,予算に若干の余りが出た.H25年度には,H24年度に不足していた実研も含めて実施する予定をしている. 実験装置関係は前年度の段階で概ね揃えることができたため,平成25年度は,模擬地盤を作成するための砂,コークス,応力発光体等の材料,実験のための消耗品,実験補助に対する謝金,研究打合せと成果発表のための旅費に研究費を使用する予定をしている.
|