2013 Fiscal Year Research-status Report
地盤の液状化現象における振動継続時間の影響に関する研究
Project/Area Number |
24560611
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
建山 和由 立命館大学, 理工学部, 教授 (10179731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰三 福井大学, 工学研究科, 准教授 (10380578)
横山 隆明 立命館大学, 理工学部, 特任助教 (30562110)
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Keywords | 液状化 / 時間依存性 / 電気抵抗 / 振動 / 間げき水圧 |
Research Abstract |
砂地盤の液状化が地盤の不均一性に起因して局所的に発生した液状化が空間的に拡大する現象に起因するという仮設を検証するために,コークス粒子で作成した模擬地盤を振動台上で加振し,コークス地盤内の電気抵抗分布とその時間変化を計測する実験を行った.昨年までのところで,コークス粒子の供試体を水で飽和させた実験においても,コークス粒子群の振動時の挙動を電気抵抗の変化で計測し得ることを確認していた. 今年度は,コークス供試体の中に部分的にコークス粒子を緩く詰め,局所的な密度の不均一性に起因してコークス粒子間の電気抵抗変化が空間的に広がっていく過程の計測を試みた.供試体内のコークス粒子の電気抵抗の部分的な計測は,供試体を入れたアクリル土槽の両側の側壁内側に30mm×30mmの銅板電極を貼り付け,2枚の電極間の抵抗を計測した.電極の対を土槽側面の6カ所に貼り付け,それぞれ対となっている電極間の電気抵抗を計測する予定であったが,電流は各対間だけではなく,他の電極にも流れるため,1対間の電気抵抗のみを独立して計測することができなかった.このため,各対間に負荷する電圧に振動成分をもたせ,電極毎に振動数を変化させて特定の振動数の電流を計測することにより,各対間の電気抵抗の計測を試みた.しかしながら,この手法でも他の対電極の影響を除去することはできなかった. このため,長手方向に複数の帯状の電極を配置し,長手方向に分割された各区間毎のコークス粒子の電気抵抗を計測した.この手法により,一部の区間のコークスをゆる詰めにした場合,区間毎の電気抵抗の違いとその時間変化を計測し得ることが確認された.次年度はこの手法を使い,振動条件と液状化の発生との関係,これに与える粒子の初期状態の影響,ならびにその周辺への伝播特性について実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた実験方法では,コークス供試体の局所的な電気抵抗の差異を計測することができないことが明らかになった.このため,試行錯誤で新しい手法を探したが,今年度終わりになり,有効な方法を見つけることができた.このため,実験は今年度初めの予定と比較して20%程度しか進んでいない.しかしながら,有効な実験方法を見いだすことができたので,次年度は実験頻度を増やし,所定の結果が得られるよう研究に取り組んでいきたい. 昨年,適用が難しいという見通しを持った応力発光材料を用いた振動実験については,今年度引き続き改善に向けた努力を行ったが,この材料を用いた応力伝播現象のモニターは速度面からの追随性に限界があり今回の研究への適用は困難であると判断した. 一方で間げき水圧の変化と液状化現象との関係については,実験とその分析を進めている.年度当初に想定していた実験をほぼ行うことができている.この部分に関しては,予定通りの成果を上げている. 両者の結果は,連携させながら現象の解明を行う必要があり,前者の実験が遅れていることから総合的な研究の進捗は遅れ気味である.全体としては年度当初の予定に比較して40%程度の進捗と自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
局所的な液状化の発生が周辺の液状化を誘発する現象の計測については,今年度の最終段階で有効な実験方法を見出すことができたので,次年度はこの手法を使い,振動条件と液状化の発生との関係,これに与える粒子の初期状態の影響,ならびにその周辺への伝播特性について実験を行う.この際,コークス試料の粒径,振動数,振幅,粒状材料の初期平均密度,局所的なゆる詰め領域の大きさと相対密度を下記の条件(それぞれの組み合わせに対し各2回実施)で設定する. 1. 振動条件 両振幅:5mm~20mmの間で5水準,振動数:1Hz~20Hzの間で5水準 2. 供試体条件 平均粒径:0.5mm~10mmの間で4水準,初期相対密度:20~80の間で4水準 この実験と平行して,通常の地盤材量を用いて間げき水圧に着目した液状化の発生状況の観察を通じた現象の把握も続けて行うこととする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,想定していた実験方法では,所定の計測ができないことが明らかになった.このため,代替えの実験方法をさがすのに手間取り,想定していた条件の実験を全て終えることができなかった.このため,実験で使用する消耗品や試料のための費用が未消化になり予算が余った. 所定の計測を行うことのできる実験方法を見出すことができたので,次年度は今年度分も含めて実験を行うため,繰り越した予算はこのための消耗品や試料の購入費に充てる.
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