2012 Fiscal Year Research-status Report
貝殻由来の炭酸カルシウム結晶析出法による土の改良効果
Project/Area Number |
24560613
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
重松 宏明 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90353268)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 貝殻 / 改良土 |
Research Abstract |
石川県は日本海側有数の養殖カキの産地で,毎年3,000トン以上の貝殻を排出している.剥き身後の殻は,一部粉砕して土壌改良や肥料などに利用されるものの,多くは養殖地内に設けられたヤードに野積みされる.野積みされたカキ殻は,悪臭を放つのみならず,自然の景観を損なうなど,地域に対して多大な悪影響を及ぼす.現在の廃棄物処理法によると,種々の貝殻は一般廃棄物として指定されており,各地域内において適正な処理が義務付けられている.そのため,建設業や農業など,多分野における有効活用が強く求められている. こうした中,これまで申請者の研究グループは,カキやホタテの貝殻を利用した土質改良工法の開発に取り組んできた.貝殻からカルシウム系固化材を製造し,それを湿潤土に適量混ぜ合わせることによって土粒子同士を化学的に固結させる工法である. 平成24年度は,粘性土に対して本固化材を適用させた場合,どの程度の土質改良効果(安定処理効果)が見込めるのかを一連の室内実験(一軸圧縮試験,pH試験)で検証した.その結果,以下のような知見が得られた. (1)粘性土に本固化材を適量混ぜ合わせることによって強度は飛躍的に向上し,かつ供試体を作製する際の突固めエネルギーが大きいほど,より大きな安定処理効果が得られた. (2)強酸性化した処理対象土に本固化材を混ぜ合わせると,pHは7.2~7.5と,中性付近に推移したことから,中和処理に対する効果も絶大であった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,処理対象土が粘性土の場合において,思ったほどの改良効果が得られないのではないかと危惧していたが,一定以上の強度発現効果を確認した.また,強酸性化した土に本固化材を混ぜ合わせた場合においては,pHは7.2~7.5と安定し,非常に高い中和処理効果が得られた.これは研究当初から予想していなかったことで,本固化材のさらなる可能性に繋がるものと確信している.
|
Strategy for Future Research Activity |
トンネル掘削土や河川・湖沼浚渫土のような高含水比の建設汚泥は,他の建設廃材(コンクリートやアスファルト)に比べてリサイクル率が大幅に遅れている.このような現状を考慮した上で,当初の計画で研究を継続しつつ,かつ建設汚泥に対しても,本固化材の適用可能性を検討していく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費および次年度以降に請求する研究費を合わせ,以下に示すような計画で研究を遂行する. (1)処理対象土の試料調整から工学的分類まで 実験に使用する処理対象土を一旦含水比15%以下になるまで空気乾燥させ後,均一になるようによくかき混ぜ,4.75mmふるいで通過させる.次いで,物理・化学試験を実施し,基本的な土質特性(pH,粒度組成,土粒子の密度,コンシステンシー,最適含水比,有機物含有量など)を把握した上で,各処理対象土を工学的に分類する. (2)固化材混合から室内実験まで 液性限界の2倍の含水比に調整したスラリー状の各処理対象土に対して,所定の混合率で固化材を混ぜ合わせた後,圧密試験用の容器を用いて脱水処理を施す.その後,これらの脱水処理土を異なる期間湿潤状態で放置させた後,一連の力学試験(一軸圧縮試験,一面せん断試験など)を実施する.その際,実験に用いた供試体の電子顕微鏡写真から,微視的な固化状況についても確認する.
|
Research Products
(1 results)