2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560614
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
加納 誠二 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (40280408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地盤改良 / 微生物 / 自然由来 |
Research Abstract |
本研究は自然由来の微生物を用いることで環境負荷のない地盤改良工法を目指している。そのため、今年度は土中のカルシウム分と牡蠣殻を用いる可能性の検討と地盤改良に用いることができる国内の自然由来の菌の採取を試みた。 牡蠣殻を用いた実験では、牡蠣殻を0.425mmのふるいにかけ、通過したものを重量比で10%混ぜ、相対密度60%に調整して作成した土試料を用いて、圧密排水三軸圧縮試験を実施した。その結果、牡蠣殻を混入することで、強度が上がるが、微生物を用いた地盤改良の効果は見られなかった。このとこから単に牡蠣殻を混入するだけでは、カルシウム分としての利用が難しいことがわかった。 また、国内の自然由来の菌を採取するため、ビーチロックに着目した。ビーチロックは海水中のカルシウムイオンややケイ酸イオン等が固化に使われている。そこで自然由来のビーチロックが微生物によって生成されたのかを調べるため,菌の同定,ウレアーゼ活性試験,炭酸カルシウム析出実験より検討した. その結果、ウレアーゼ活性試験の結果から沖縄県のビーチロックには反応がみられたが,石川県のビーチロックでは確認できなかった.また採取された菌の遺伝子解析を行ったところ、Paenibacillus fonticolaやLysinibacillus sphaericus,Sporosarcina spなどの可能性であることがが判明した.さらに炭酸カルシウム析出試験より,実験を行えたすべての菌で,塩化カルシウムから炭酸カルシウムを生成していることが推測できた.中でも,Sprosarcina菌は還元率87%と他よりも大幅に大きくなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微生物の採取については、予定よりも進んでおり、国内の地盤からもこの工法に使われるウレアーゼ活性菌が採取された。これまでアメリカの菌バンクから輸入した菌が用いてこられたが、本研究により国内で採取された菌を用いることができるようになったため、本工法の実用化が大きく進展したと思われる。ただし、どの菌が最もよく働くかなどについては追加実験を行い、強度の面での比較が必要である。 一方、牡蠣殻の使用については、単に牡蠣殻を粉砕しただけでは地盤改良工法に必要なカルシウム分として利用することが難しいことがわかった。これは牡蠣殻がすでに炭酸カルシウムで形成されているためであると考えられる。 次年度では、牡蠣殻をカルシウムイオンとして利用できる形に変えて、地盤に混入する方法の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果から、地盤改良に必要な微生物の抽出は可能であることが分かった。より改良効果の高い、またより改良速度の速い菌を探すため、再度ビーチロックを採取し、菌の採取を行い、その効果について検討する。また遺伝子情報を比較することにより、炭酸カルシウム析出能力と関連が高い遺伝子情報を明らかにしたい。 また、菌を地盤内に混入させる方法として、菌と培地を寒天で固めものを地盤内に混入する方法を検討する。そのため、寒天の混合割合などが、どの程度改良効果に影響及ぼすか検討する必要がある。 一方、牡蠣殻の使用については、単に牡蠣殻を粉砕しただけでは地盤改良工法に必要なカルシウム分として利用することが難しいと考えられる。そこで牡蠣殻を溶液にとかして、カルシウムイオン化する方法を検討する。それを用いてカルシウムイオンとして利用できる形で地盤内に混入し、地盤改良して試料を作成する方法について検討し、作成した試料の静的および動的力学特性について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の成果から、地盤改良に必要な微生物の抽出は可能であることが分かった。より改良効果の高い、またより改良速度の速い菌を探すため、再度沖縄などの亜熱帯地域のビーチロックを採取し、菌を培養し、ウレアーゼ活性菌の採取を行い、その効果について検討する。次年度は沖縄本土ではなく、島嶼部での採取を試みる。 また、その菌やこれまでに採取した菌の遺伝子情報を比較することにより、炭酸カルシウム析出能力と関連が高い遺伝子情報との比較検討を行う。 さらに、ウレアーゼ活性菌を地盤内に混入させる方法の検討が必要である。本研究では菌と培地を寒天で固めものを地盤内に混入する方法を検討する予定である。そのため、寒天の混合割合などが、どの程度改良効果に影響及ぼすか検討する。また、自然状態でビーチロックが形成されていることから、ビーチロック周辺の土や海水を採取し、イオンなどの解析を行い、培地の成分について検討する。 一方、牡蠣殻の使用については、単に牡蠣殻を粉砕しただけでは地盤改良工法に必要なカルシウム分として利用することが難しいと考えられる。そのため、牡蠣殻をカルシウムイオンとして利用できる形に変えて、地盤に混入する方法の検討する。今年度購入予定のフローポンプ(他のものを援用する)や三軸試験消耗品の費用の一部を、次年度牡蠣殻のイオン化、それに伴う試料作製方法の再検討の器具購入費に充てる。それを用いて、カルシウムイオンとして利用できる形で地盤内に混入し、地盤改良して試料を作成し、その試料の静的および動的力学特性について検討する。
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Research Products
(2 results)