2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560614
|
Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
加納 誠二 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (40280408)
|
Keywords | 地盤改良 / 微生物 / 自然由来 / 牡蠣殻 |
Research Abstract |
本研究は自然由来の微生物を用い,カルシウム分に廃棄された牡蠣殻を用いることで環境負荷の少ない地盤改良工法の開発を目指している.そのため,日本近海に生息する微生物のうち,ビーチロックなど土粒子間に炭酸カルシウムを形成して作成されている岩から菌を採取し,炭酸カルシウム作成可能か検討することと,炭酸カルシウムのための原料として牡蠣殻を用いる方法について検討することを目的としている. 平成24年度には,日本近海に見られるビーチロックを2か所(沖縄県と石川県)で採取し,ビーチロックから菌を培養して,炭酸カルシウム生成能力があるか検討した.炭酸カルシウムはpHが高い状態(通常9以上)でなければ形成されにくいため,pHが高い環境が作り出せる菌として,ウレアーゼ活性菌を抽出した.結果,沖縄県のビーチロックからは数種類の菌が検出され,炭酸カルシウムの析出も確認できた.炭酸カルシウム析出能力の高い菌を同定するため,平成25年度には再度ビーチロックからウレアーゼ活性を示す菌を培養した. また牡蠣殻については平成24年度の結果からそのまま混合したのでは,利用できないことがわかり,25年度には一度塩酸を用いて溶解させて利用する方法を検討したところ,炭酸カルシウムが析出され,利用可能であることが分かった. ところが実際に上記の培養した菌を用いて炭酸カルシウム析出試験を行ったところ,ウレアーゼ活性は認められるが,炭酸カルシウムの析出率が小さいなど,平成24年度とは異なった結果となった.この結果については今後更なる検討が必要である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微生物の採取については予定通り進んでおり,国内の地盤からこの工法に用いることができるウレアーゼ活性菌が採取された.しかし,24年度と25年度を比較すると,同じビーチロックから採取しても培養される菌が異なっているなど利用できる菌については,更なる検討が必要である. 一方,牡蠣殻の利用については,平成24年度の結果から,粉砕してそのまま土に混合しただけでは利用できない事が明らかになったが,平成25年度の実験から,一度塩酸に溶かして,カルシウムイオンにすることで,炭酸カルシウムの析出が可能であることがわかった.しかしカルシウムイオンの供給源として牡蠣殻を用いた場合,塩化カルシウムを用いた場合に比べ,炭酸カルシウムの析出量に違いがあることがわかった.この理由としては塩化物イオンの影響なども考えられるため,今後,形成される塩の同定や菌の耐塩性などについても検討が必要である. さらにこの研究の第一人者であるUC DavisのDeYoung准教授に供試体作成上の注意点などを教示いただき,供試体作成方法の改善を行うことができた. 予定では要素試験を行う予定であったが,実験室の改修工事のために,9月末から3月末まで実験を行うことが不可能となってしまったため,要素試験のみならず,菌の培養なども不可能となった.このため,力学試験が行えていない.しかし,実験室の改修は平成25年度3月末には完了しており,菌の培養とそれを用いた改良方法の改善が行えれば,力学試験は早急に実施できる状態になっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度と25年で同じビーチロックから採取されたウレアーゼ活性菌でも培養された菌が異なった.このため,再度ビーチロックを採取し,ウレアーゼ活性菌を培養して,菌の同定を行う必要がある.また塩酸に牡蠣殻を溶かして利用した場合,炭酸カルシウム析出量が異なっており,培養した菌の耐塩性などについて検討が必要であり,ビーチロック採取地域の水環境などの調査も追加する必要がある. 一方で,今年度の結果からカルシウムイオンにすることで,牡蠣殻を用いた改良の可能性が示された.今後は,塩化物イオンの影響などを明らかにした上で,牡蠣殻を利用して改良した供試体を作成し,静的および動的力学試験を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定では要素試験を行う予定であったが,実験室の改修工事のために,9月末から3月末まで実験を行うことが不可能となってしまったため,要素試験のみならず,菌の培養なども不可能となった.このため,力学試験が行えていない.しかし,実験室の改修は平成25年度3月末には完了しており,菌の培養とそれを用いた改良方法の改善が行えれば,力学試験は実施できる状態になっている. またそのために,模型実験の詳細な計画決定ができていなかっため,模型試験用の容器の作成と必要な機器の購入が遅れているため. 再度ビーチロックを採取し,その周辺の水環境の調査なども合わせて行う必要があるため,沖縄県などの亜熱帯地方でビーチロックを採取する.また菌の遺伝子解析も行う必要がる. 実験室の改修は平成25年度3月末には完了しており,菌の培養とそれを用いた改良方法の改善を行い,強度試験を実施する.そのため,実験に必要な消耗品の購入を行う.また,力学試験の結果を元に,模型実験の詳細を決め,容器の作成と必要な機器の購入を行う.
|
Research Products
(1 results)