2012 Fiscal Year Research-status Report
海岸鉄道の異常海象に対するオペレーション技術の高度化に関する研究
Project/Area Number |
24560615
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 克俊 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70322873)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海岸鉄道 / 津波 / 高波 / 通行規制 / オペレーション |
Research Abstract |
海岸鉄道は我が国の物流や生活を支える重要な施設である.近年,護岸前面の砂浜の消失により,波浪の影響を直接受ける鉄道が増加している.また地球規模の環境変化によって,今後は高波の出現頻度の増加が予想され,鉄道車両の危険度は明らかに増大すると考えられる.一方,2011年3月11日に発生した東日本大震災では多くの鉄道が津波被害を受け,その復旧を進めるためにも,津波に対する鉄道の安全度評価が重要となる. 本研究は,こうした海岸鉄道を取り巻く厳しい環境下において,異常海象に対する総合的なオペレーション手法を提案し,利用者の安全・安心をもたらすことを目的としている. 平成24年度には, 高波に対する検討としては、2006年9月に太平洋に面した海岸鉄道H線のK駅付近で発生した高波による運行障害事例の再現を行った.護岸模型(縮尺1/40)を用いて,不規則波による越波実験を行い,最大波作用時における道床前後の浸水状況を求めた.さらに大型実験(縮尺1/4)により道床を再現し,越波を模擬した段波を作用させて石材の移動状況を把握した.これらの結果に基づいて,当該路線の高波時のソフト的な安全管理手法をとりまとめた. 津波に関しては,東日本大震災では,津波を受けた7路線における施設被害を分析した.とくに被害の大きかった事例に着目して,被害車両の損傷状況,線路からの移動距離等のデータを収集し,当該地点の津波の浸水深さとの関連を調べた.さらに橋梁被害を対象として系統的な水理模型実験を行い,海岸橋梁に働く津波力の算定式を求めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高波に関する検討に関しては,予定どおり研究が進展し,平成25年度に研究成果を土木学会論文集B3(海洋開発)に査読付き論文を投稿中である。津波に関する検討は,実験装置の都合により実験の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は引き続き,高波および津波による海岸鉄道の被害事例を分析するとともに,その発生メカニズムを解明する.その上で,平成26年度には,これらの異常海象に対して鉄道の安全運行を行うための総合的なオペレーション手法を提案する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
津波に関する実験が、実験装置の都合により、実施が遅れた。次年度使用額を物品費として使用し、実験模型(消耗品)の購入を行う予定である。
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