2014 Fiscal Year Annual Research Report
水文学的視点からの再生可能エネルギーの限界と脆弱性
Project/Area Number |
24560617
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鼎 信次郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20313108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 世界水資源モデル / 再生可能エネルギー / 冷却水 / 工業用水取水 / 世界水資源アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2050年の世界の一次エネルギー需要は、2010年の約2倍から3倍にまで上るかもしれないと予想されるが、このような中、再生可能エネルギーのプラスとマイナスについて、グローバルな水資源研究の側面から貢献することが本研究の狙いであった。データの制約などのため、グローバル研究と地域研究とを行ったり来たりするなど紆余曲折はあったが、最終的には、将来のエネルギー利用形態に応じたグローバルな水利用量について検討することができた。結果として、現在から2100年までの発電に必要となるグローバルな取水量の推定を行った。バイオ燃料を天水のみで栽培したと仮定した場合、エネルギーのための水利用のほとんどは冷却水だからである。複数の社会経済および気候シナリオ(複数のRCP、SSP)に基づくエネルギー需要量の推計に対して、世界を複数地域に区分した場合の各発電方式毎の水需要量を算定した。その中で、再生可能エネルギーの選択の違いやその導入レベル違いが取水量に与える影響を定量的に評価した。算定の中にはCCSの水資源への影響も暫定的に取り込んだ。たとえば今の続きに近いSSP2の将来社会では、GHG排出の程度にかかわらず、現在500km3程度の取水量が、1500程度あるいはそれ以上へと増加する。一方、SSP1のような再生可能エネルギー主体を目指す社会では、21世紀中頃には水利用量が増えるものの、21世紀末には再び約500に戻ってくる。また、SSP1のような社会では、GHG排出削減と水利用量削減とがコベネフィットの関係にあった。一方SSP2の社会では、その両者はコベネフィットではなく、トレードオフ関係となった。これらの関係性には再生可能エネルギーの水利用量、石炭や原子力発電の水利用量が効いている。また、将来採用される冷却方式の違いは、社会経済シナリオやGHG排出シナリオ以上に水需要に効く可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)